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「現代美術なんて簡単さ」と言い出すサイトは、額面どおりに受け取れば簡単で早いぞという主張だったりします。たとえば便器のフォルムと磁器の真っ白さを指して、よく見ると美しいでしょと。美といえるから便器も美術としてありですよ、と導くガイドがそうです。

そうした簡単な落とし方に対して、このブログはそれは遠回りだと指摘します。確かにこちらの目的も、難しい芸術を平易にし、わからない現代美術をわかるようにすることです。しかし取るべき手は、割り切りや回避ではなく、芸術はなぜ難しいのか自体を謎解きすることです。その方が近道になります。

芸術の難しさは錯覚ではなく、実際の作品にはひねった文脈が多用されています。「食べませんか?」ときて、「食べます」と受け取るとすれ違うアート作品があるわけです。「食べてしまえば簡単さ」とストレートに突っ切ったら、キャッチできない含みが残ります。

「表面だけすくい取って終わりにしよう」式の解説は、害だと考えています。そこでまず、芸術の難しいニュアンスをシミュレーションするのに、文学や映画にも使われている反語的表現を持ち出して、こんな感じなのだと話題をつくっているところです。

すると大きい疑問が出てくるでしょう。他人に伝わりにくく誤解されやすい反語表現を、なぜ現代作家はよく使うのかと。なぜわざわざ裏返すのか。その答は簡単で、20世紀の近代美術以降に起きてしまった爛熟と進歩主義が原因です。手法が行き詰まったマンネリ状態の時に、裏返しにする表現が出てくるという、よくある現象です。

たとえばテレビでウルトラシリーズや漫画アニメがスタートして回を重ねると、必ず裏返しの意外なストーリーがポンと出ますね。正義の主人公が悪にあやつられてしまい市民を襲う巻や、なぜかヒーローが珍しく大失敗して反省する巻など。いつもと違う展開。アートも同じで、行き詰まり対策として逆転の発想を持ち込むのです。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?