スーパームーン撮影【満月が常に月食とは限らない理由がわからない】
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?

11月14日の夜は、月と地球の距離がぐっと近づき、しかも満月でした。スーパームーンと呼ぶ、68年ぶりの大きい満月です。薄曇りの中で撮影しました。満月や名月を見て、思い出すことがあります。
中二時代に、副委員長の女子生徒が授業の直後にたずねてきました。「満月は、太陽、地球、月の順に並び、地球から月を見ると真ん丸になる。ならば暗い皆既月食になるはず。なのに明るい満月なのはなぜか」と。「あたし、どうしても絶対わからない」と言い出します。
理由は、自然現象ゆえ精度がいい加減だから。十五夜の満月とは名ばかりで、完ぺきな真円ではありません。三天体の列は完ぺきな一直線ではなく、わずかに「くの字」に折れています。珍しく一直線になった皆既月食の夜でさえ、厳密には一直線ではなくかすかに折れていて。
同じ皆既月食でも、地球の影が余裕で月を隠せた場合と、かろうじて隠しきれた場合があります。月全体を隠しきる瞬間がないほど一直線からずれた夜は部分月食に格落ちし、もっとずれると単なる満月にとどまるわけです。地球の影が月にかすりもしない、ニアミスの夜が満月です。より完ぺきな満月は、地球の影に入り込んで月食になる。
しかし中二の当時、彼女を理解させる説明はできずじまいでした。先生も教科書もそこまで突っ込んだ話はしないから、彼女はわからないままでした。この時、あることに気づいたのです。何かが全然わからない人は、全くの白紙ではないことに。
彼女の場合、「満月は真ん丸」という基礎知識がじゃましていました。程度の問題が欠落したまま、固い先入観が形成されていて。全然何も知らないより半分知っている方が、理解が遠のく例です。わからないと言う人がわかる人に変わるには、障壁になっている先入観を見つけることが必要なのでしょう。本書でも応用しました。
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