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映画『2001年宇宙の旅』は、有名俳優が出ていないことでも有名です。一人生き残ったボーマン船長役のキア・デュリア氏も、宇宙空間で暗殺されたプール副操縦士役のゲイリー・ロックウッド氏も、現在も存命で伝説化していません。

映画は伝説化し、二つの謎解きが今も続きます。「人工知能のHAL9000はなぜ暴走したか」「ボーマン船長に何が起きたか」。著者は学校の特別講義で、レーザーディスクのスクリーン映写で見ました。でもこれら謎解きへ気持ちが向かわなかった覚えがあります。

前半のトリック撮影による宇宙生活の描写が冗長ぎみなので、説明型の映画ではないと感じたからです。ミステリー映画の伏線が特になかったし、犯人捜しの推理を始めると監督の意図から外れる気がしたのです。浮遊イメージに近い映画と受け取りました。

しかし世界中で、映画内の出来事の理由や意味を探る解説が多くみられます。投稿コメントに「正解は監督だけが知っている」という前提の思考が多くあります。映画は元々解説ナレーションを多く用意していて、編集途中で説明なしに変更し、後で出した小説で解説しました。

作者は作品の意味を決めない方が作りやすいものです。たとえば著者の絵画でも、意味を込めることはまずありません。言葉で説明する小説とは違い、ビジュアル系の表現物はポストモダン的なあいまいさで作られる傾向があり、厳密なつじつま合わせは制約になりやすいから。

『2001年宇宙の旅』は、通常の35ミリでなく70ミリフィルムで撮影され、ゆっくりしたテンポにすることで、画面の隅々まで鑑賞者が目視できるようにしてあります。絵画的な世界だからセリフも追えず、難解だとの世評を聞いて映画を敬遠する人が今は多いと知りました。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?