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イタリア製西部劇をアメリカではスパゲッティー・ウェスタンと言い、日本ではマカロニ・ウェスタンと呼びます。アメリカの西部劇との違いは、ならず者集団のむごいリンチのシーンを含んで、おたずね者を始末する賞金かせぎの多さ。最近『怒りの荒野』の短縮版を見ました。

マカロニ映画が全般に言われるのは、サウンドトラック曲の良さです。傑作曲が集中しています。同じ1960年代の別ジャンルの映画も、音楽が光るものが多い。1960年代はもう50年も前なので、映画が斬新であっても全てがローテクの時代です。

その頃の音楽は、まだやれることが多く残されている時代だったと考えられます。つまり、作曲家にメロディーが浮かべば、それがオリジナルとして通りやすい程度に、ポピュラー音楽の全体数量が多くはなかった時代といえます。

これが70年、80年、90年代と、音楽が大量につくられるうちに、絶妙なメロディーが発見しつくされてしまい、どこかで聴いたものに似るか、凡作にとどまる確率が高まったと思えます。メロディーがないラップやヒップホップは、その回避策かも。

現代の作曲家の能力が落ちたのでなく、12音階で目新しいものを作り出すだけの、埋もれた組み合わせが残っていない理屈です。これはもう明らかに後から生まれた者が不利です。60年代の優れた曲を聴くと、今の作曲家のやりにくさに同情するばかりです。

同様の現象は美術にもいえて、少しでも差異化を大きくとるアイデアしか創造の余地がない気がします。しかし海外展を続けて感じたことは、そもそも芸術の香りという次元の希少性は厳然と残されています。造形の目新しさとはまた別に、表現される内容の余地は広大です。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?