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一人の画家の作品に対して「同じような作品ばかりだ」「ワンパターンになってる」「似たり寄ったり」というけなし方では、悪口になっていません。この言い方は「芸術はわからない、理解できない」現象に近いものに陥っています。

ロック音楽の出始めでもそうでした。「同じ、ワンパターン、似てる」という批判では、悪い音楽の証明にならない。これはつまり全否定しているにすぎず、その分野の入り口から入れていない状態です。

毎日の習慣化した食事や、鉄道ファンが追いかける列車や、夜空の星なども「みんないっしょだ」と言えます。ジャンルの中に入ると、個々は意外に違いが大きく、ワクワク感があり楽しめるわけです。列車と星ほどの違いがあるなら、最初から違う分野に分けてあるわけで。

「全部が同じに見える」と感じた時点で、その人はそのジャンルにはじかれ、中に入れなかったのです。波長が合わず、関心がないまま、遠い世界に離れている状態です。その仲間外れ状態の虚無感の吐露が「全部いっしょでつまらん」になるのか。

著者は自分が知らない世界を減らす主義で、酒を飲まない生活だったのに、ある時期日本で買える全ての輸入ウイスキーとジンを飲んで特徴を分析して採点したことがありました。ある程度全体像がつかめ、以後は一滴も飲まなくなりました。後になってコーヒー豆の全制覇です。

日本の隠れ美術は少し驚くもので、展示参加者の作品が海外で売れて、でも同等の作品は通販には見当たりません。「ワンパターンで似たものばかり」とは違う意外性が、日本の絵画です。みんなが違うことをやる前提が定着したようにみえます。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?