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「絵が語る」の言い方を耳にすると、とたんにわからなくなる方は多いでしょう。「絵が何かを語りかけてくるなら、ナレーションが聞こえてくるのかな」と。セリフかト書きか、言語の情報が伝わるのであろうと身構え、肩すかしを食らいやすい。

この部分が壁となり、美術鑑賞は妨害されます。「言葉とは違う何か」を受け取る力が、現代人は落ちたことも推測できます。これは「人々の想像力が低下した」という、日頃耳にする現代人批判とも関係はあるでしょう。言い換えれば、私たちは言葉への依存度が高い。

絵が語る「言葉とは違う何か」を、しかし言葉で伝えるのは困難です。このブログもそこを伝えようとして、なかなか焦点が合わないもどかしさが常にあります。「ついに言えた」と自信満々でも、後で読み返すと話がつながっていない表現のしくじりがずいぶん多いし。

そこで言い方を変えたり切り口を変えて、同じことを何度も説明し直しています。時間をかけつつ、言い方の発見を待っているともいえます。人間は言葉に強く依存して、言外の表現でのコミュニケーションは壁になりがちです。

さらに、言外の表現は受け取る立場に依存します。個人の人生体験を通して、事物は目に入るのです。人によって反対に受け取ったりします。楽しい絵か悲しい絵かも、個人差が分かれます。多様化のグローバルでこの分断は大きくなり、摩擦も増えます。

鑑賞法でも「正解」を突きとめる意味はなくなっています。作品は最初から、見る側との接点を不確定として、試案として提示されるにすぎません。「作品を理解する」という目標は無駄な努力となり、努力を強いるような教育も減ったはずです。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?