東京五輪と選民思想に演出家の辞任【ユダヤ教揶揄の動機と下地】

2020東京五輪をつくりあげる役職が、選民思想をちらつかせては辞任しています。23年前のコントでホロコーストに触れた一言「ユダヤ人大量虐殺ごっこ」を、米国団体から指摘された件は少し違い。日本にユダヤ教徒蔑視がある理由について、ネットの声から少し考えてみます。

一部の動機は原爆でした。ルーズベルト大統領に「ウラン元素が新エネルギーになり兵器になる予想」を伝えたのが、ドイツから亡命したアインシュタインでした。彼もユダヤ教。日本では原爆投下『マンハッタン計画』の一員はアインシュタインだとの都市伝説があり、相対性理論の掲示板は荒らされます。

21世紀の目新しい動機は貧困化です。英系ロスチャイルドや米系ロックフェラーは、ユダヤ金融の家系とされます。近世のただの金貸し業が、金融経済が世界を動かす時代に富豪となり、世界から搾取している陰謀論があります。平成日本の急落は、その毒牙にやられた説が急増。

平成の日本を貧困化させたのは、新自由主義経済の緊縮財政と構造改革です。思想的な指導者はミルトン・フリードマンで、やはりユダヤ教徒です。ノーベル経済学賞なのに、総量が一定のお金を取り合う財源論に終始し、現代の信用貨幣論を理解しない「天動説派」でした。

世界中に貧困と格差をもたらせたミルトン・フリードマンを、危険思想として告発したのが、カナダのナオミ・クライン。しかし彼女もユダヤ教徒です。世界を不幸に変えてきた者と、そうはさせまいと阻止する者は、同じ宗教です。方向性に相関がありません。

日本に現れる不適切言動を除去しても、反ユダヤ思想の根は残ります。差別だとして糾弾しても、事実誤認した予備軍たちは陰謀へよけい身を寄せる。フェイク情報を消すより、正解情報が目立てばよいはず。しかし日本は貧困で、正解情報を執筆する仕事が成り立ちません。