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動画サイトに重大犯罪の解説が多くあります。視聴者コメントで多いのが「犯行の動機が不明なら無罪なはずだ」という見込み方です。これは無茶で、人間の行動の動機は確証がつかめないものなのです。人の行動理由は本人にさえ、とてもあいまいです。自分にとっても不明。

「ヒ素で連続保険金詐欺を犯した打算的な者が、果たしてお金にならない無益なヒ素殺人を起こすだろうか」の意見は、あの和歌山カレー事件でよく言われます。この割り切った解釈は、人間を機械のようにみなす誤認識であり机上の論です。

誰でも「昨日の昼に食べた料理は、なぜそれを選んだのか」「別の料理を選ばなかった理由は何か」という決定的な動機は、選んだ本人も説明できません。結果だけがポツンと残るものです。むしろ犯人の証言は、自分の本心がわからない当惑の言葉が多かったりします。

「犯行の動機がいまだ語られていません」は起きて当然です。美術制作の動機も同様で、画家が海の絵を描いたのは海へ行ったからでしょう。でもこんな絵になった理由はわかりません。いつもの手癖と違う部分に関しては、たまたま思いつきましたというだけのことです。

著者は美術鑑賞のボタンの掛け違いは、制作動機の解明も一因と考えています。解説を事前に読んで実物を見ても、作品を自分のものとして受け取れない壁ができやすいのではないかと。ヒントなしに繰り返し見たり、買って毎日見る方が早い。頻度を上げるのが得策であろう。

ピカソは答を出していました。「赤い絵具がない時は青を塗る」。その程度の時の偶発現象にすぎなくて、画家の気持ちの反映は不明瞭です。古くて硬化し始めたチューブを使い切るために描いた一枚などは、どの画家にもあること。整然とした理由づけこそ都市伝説ではないかと。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?