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最近動画サイトの推薦に並ぶのが、シティポップスと呼ばれる曲です。ニューミュージックの中でも昭和歌謡から特に遠い系統です。海外の人が竹内まりあを発見したのが発端で、1970年代末以降の日本の隠れ歌曲を発掘する流れ。日本としてはまたしても価値の逆輸入です。

シティポップスはフュージョンやブラコンに乗せた和製AORで、さわやかでありながら屈折した曲調が持ち味です。コードがフォークソングとは全く違い、随所にジャズコードでアクセントをつけ、ソウル音楽ふうに一瞬かげらせる暗転が秀逸曲の特徴です。

サイトの動画を全てチェックしようとすると、最近10年の新作は江口ニカこと一十三十一(HitomiToi=ひとみとい)なるヴォーカリストの盤が傑出していました。ヴィブラートやこぶしをかけない声は荒井由美を直ちに連想させ、ドレッシーでない普段着感覚です。

バック演奏は歌謡曲からかけ離れ、企画のクニモンド瀧口が狙った曲はイギリスふうです。長調のフュージョンは通常メジャーセブンスが基調ですが、拡張コードや代理コードを加えて、一拍だけナインスやディミニッシュなどジャズイディオムで押し目をつける変化も。よく動き回る曲なので、緊迫感と疾走感があります。

これと似た技術は絵画にもあります。音楽でいう不協和な濁りで、画調を圧したり解放したりのビジュアル操作で、説明のつかないテンションや感興を起こせるのです。青空作品に仕掛けを加えて情報量を増やすこの技術やセンスは、海外の方が圧倒的にあります。

現代の制作は多様化の中でニッチ化している悩みがありますが、すき間は思ったより大きいものです。既成の概念を根本からひっくり返そうとしなくても、予定調和を崩すことはできています。奇想天外でない範囲内でも、できることは多いヒントを感じました。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?