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『なぜ日本では「溺れる犬を棒で叩く」という冷血人間が大量発生するのか』が、Yahooニュースにありました。強い相手には黙り、弱い相手だけいじめる国民性だという論説です。打たれ弱い芸能人も被害者か。日本人が観察する日本人の行動に、改めて納得する指摘でした。

しかし棒で叩く日本人を弁護したい気もします。経済が右肩下がりだからです。国は裕福でも、国民は貧困です。強者に頭が上がらないのは、財力がない者の習性です。御用学者のたぐいも、貧者の行動力学です。国民所得が減り続けている件を、話に出さないのはだめ。

「政府に尻尾を振る取り巻きの多さ」も、自立では食っていけず、権力に寄生せざるを得ない追い込まれ方で説明できます。政府だけが通貨発行権を持ち、インフレ率の制約内では円を追加発行し放題です。周囲はそのお金欲しさに、政府に盾突かず忖度で振る舞うはず。

音楽業界で特にジャズ系やロック系では、ベテランは新人を発掘して世に紹介し、出世するよう引き上げる慣習があります。音楽界は金回りがよいから、新人が増えた分だけ売り上げが伸び、登場人物全員の利益になる構造があるからでしょう。概して音楽人は気前がよい。

美術が音楽と逆になる理由も説明がつきます。美術市場が小さすぎるので、売れっ子新人が一人現れるだけでも飽和し、入れ替わりにベテランの影が薄れる不安です。それで、他の美術家の名前もなるべく出さない配慮となります。こういう表れ方の貧困もあるのです。

21世紀に目立つ国民の足の引き合いや「溺れる犬を棒で」は、1997年の緊縮財政と消費税増税が発端です。モラル低下は、23年続く貧困促進で得た新しい性質です。日本人の民族性というよりも、厳密には斜陽国の常識人に生じる「貧すれば鈍する」なのです。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
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