人それぞれ論や好き嫌い論を持ち出さない理由【表現への許容の狭さ】
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
音楽の動画にこういうのがあります。「自分はこういうアルバムが好きです」。ベストアルバム二十枚とかを紹介する映像。すると次の意見が必ず投稿されます。「要は人それぞれってことでしょ」。「個人の好き嫌いで自由に聴けばいいんですよ」。
人それぞれも、個人の好き嫌いの自由も、むろん最初から大前提です。なのに、わざわざ念押しするのはなぜなのか。こうした奇妙な書き込みがネットの色々な場面で目に入ります。そういえば、過去の雑誌の読者投稿にもありました。またかと冷えた思いになります。
わかりきった前提条件をわざわざ告げる動機は、こうかも知れません。「あなたの好きなアルバムに僕は同意できません」「選定は僕の趣味に合わず不満です」「あなたに改めさせる権利は僕にないから好きにしてください」。どうも異論を突き離す反応ではないかと。
つまり、自分が嫌いなアルバムを推して、好きなアルバムを推さないすれ違いに不満があるのです。自分と一致しないストレスが、やるせない思いとなって、あんな言い方になっているのではないでしょうか。
自分と一致しないことを不快な体験と受け取り、ひそかに被害意識を持つ。これは日本人が昔から言われてきた、自分と違うものに対する過度な警戒心と、排他的な行動の表れにみえるのです。相手が自分と全く同じでないとがまんならず、違う部分を放置できないタチでしょう。
「君はそう思う、僕はこう思う」という対等関係にできず、「僕と違う君は、僕からみて間違っている」と善悪のかたちをとる思考のパターンです。他人の異なる意見を自分への攻撃とみて、反撃しているのです。美術鑑賞の許容の限界も、これと似た現象かも知れません。
人それぞれも、個人の好き嫌いの自由も、むろん最初から大前提です。なのに、わざわざ念押しするのはなぜなのか。こうした奇妙な書き込みがネットの色々な場面で目に入ります。そういえば、過去の雑誌の読者投稿にもありました。またかと冷えた思いになります。
わかりきった前提条件をわざわざ告げる動機は、こうかも知れません。「あなたの好きなアルバムに僕は同意できません」「選定は僕の趣味に合わず不満です」「あなたに改めさせる権利は僕にないから好きにしてください」。どうも異論を突き離す反応ではないかと。
つまり、自分が嫌いなアルバムを推して、好きなアルバムを推さないすれ違いに不満があるのです。自分と一致しないストレスが、やるせない思いとなって、あんな言い方になっているのではないでしょうか。
自分と一致しないことを不快な体験と受け取り、ひそかに被害意識を持つ。これは日本人が昔から言われてきた、自分と違うものに対する過度な警戒心と、排他的な行動の表れにみえるのです。相手が自分と全く同じでないとがまんならず、違う部分を放置できないタチでしょう。
「君はそう思う、僕はこう思う」という対等関係にできず、「僕と違う君は、僕からみて間違っている」と善悪のかたちをとる思考のパターンです。他人の異なる意見を自分への攻撃とみて、反撃しているのです。美術鑑賞の許容の限界も、これと似た現象かも知れません。
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