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ニュース解説テーマにもなった木村花選手の死。女子プロレスラーは一部に人気の職種ですが、演技性が高い舞台芸の一面があり、だから業界の秘密や不文律も多くあります。八百長という言い方だと外れていて、表現主義的な見世物のカテゴリーといえるでしょう。

リングで正義役と悪役に分かれて、カタルシスを均衡させて演じる世界です。お客は迫真性に喜んでも、これは真剣勝負でないと分別を持って距離をとります。似た世界がトークやドッキリ番組で、台本があり編集で切り貼りしたフィクションです。悪役は任命されるし。

しかし見る側に薬が効きすぎるのです。演出された悪役への攻撃がネットで激化しています。芝居と現実を観客がごっちゃにした古い事例に、『連続テレビ小説おしん』があります。いじめ役の伊東四朗がラジオで語ったのは、視聴者が自宅に来た奇妙な事件でした。

「お宅のご主人があの子をいじめるのを、何とかやめさせて」と嘆願するのです。家人が「あれはテレビドラマの時代劇でして、あの子を本当にはいじめていませんので」といくら言っても理解しないで、いつまでも帰らなかったという。

アメリカでは、チャールズ・ブロンソンを相手にした残虐ガンマン役を買って出たヘンリー・フォンダや、スーパーマンの敵のジーン・ハックマンも、ロードショーで大衆人気が一時落ちました。この逆が、世界最強の格闘家はブルース・リーだとする、マジ声の多さでした。

フィクションとリアルの混線は美術でも起きます。ゆるい作品の作者はゆるい人柄で、わけわからない作品は精神病と解釈しやすいでしょう。評論家がそういう話の振り方をしても、鑑賞者がそれはないと距離をとれるのか。ただし、見る者を勘違いさせる作品が理想なのですが。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?