fc2ブログ

-
レッテル貼りという語が、論争の場によく出ます。実例は「抵抗勢力」「差別主義者」「ポピュリスト」「現代のヒトラー」と悪口が多いような。敵をやっつける目的で、型にはめて丸め込むラベリング効果です。

先に定義を固めて、脳に吹き込みやすくする大衆扇動です。広告産業界のキャッチフレーズと同じ仕組みです。ところがそこに意義ありとして割って入るのが、「価値の相対性」という原理です。

レッテル貼りで相手を悪役扱いして、正義顔する習慣の人もいますが、そのレッテル貼り行為を批判しても、論理は悪循環します。なぜなら、「レッテル貼りするやつ」というレッテルを貼っているからです。これが価値の相対性です。

レッテル貼りは美術にも現れます。「傑作だ」「名画だ」なんてのも、典型的なレッテル貼りです。絵の良し悪しがさっぱりわからないと皆が感じ、自由な意見も集まらない状態では、レッテルは神の声として頼られ、慕われ大手を振るいます。

レッテルを当てにする人があまりに多いと、レッテルが人々を先導する困った秩序がつくられます。レッテルを貼る者はメシのタネになるし、美術家はレッテル欲しさに絵をかきます。アートフェアが日本で流行らないのは、レッテルを排除した世界だから。自分の目を頼るイベントだから敬遠されるのです。

国内で人気がある画家にも、この件で隠れた悩みがあります。ファンは実は自分のレッテルに集まり、作品を理解していないかも知れない不安です。自分の取り柄でもないどうでもいい部分を称賛されて、がっかりというアーティストもいるでしょう。
関連記事
スポンサーサイト



現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?