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動画サイトにギター教室の先生の演奏がたくさん出ています。エレクトリックギターで、色々な技法のお手本を示しています。ハーモニックスとか、両手の指で同時にはじくとか、ものすごい速弾きや、細かいバッキングストロークも説明してみせます。

何でこんなにうまいのかと意見が集まります。ここまで弾けたら夢のようだという声。世界一だという声。一方同じ動画サイトに、往年の英国ロックギタリストがデモ演奏する映像がありました。「僕はこんなふうに弾いてきたのさ」と神の技を披露してみせます。

「ずいぶんへただなあ」というリスナーの声。この程度の人だったっけと。世界の十指に入り、三大ギタリストと称賛されたスーパースターが雑に聴こえて、行き届かない演奏にがっかりした声が続きます。これはいったいどういうことでしょう。

往年の天才が歳をとって衰えたのか。伸びてきた後輩に抜かれた世代交替か。実は簡単な話で、彼らは演奏が上手でスターに君臨したわけではないのです。作曲と編曲が画期的で、おもしろくて充実しているから、レコードがヒットしてカリスマのスターになったのです。

つまり曲の充実と、演奏技術の高さは別です。世界のロックギターの原点、アメリカのジミ・ヘンドリックスも、上手なイメージとは次元が違います。作編曲と革新的な新技法が評価されました。正確に音を出す、教官並みの模範演奏ぶりを評価されたナンバーワンではなくて。

絵画教室の先生の絵と、ゴッホの絵の差が似ているでしょう。ゴッホは絵が上手だからではなく、絵が変わっているから巨匠とされたのです。ところが現代人は、絵が上手な順番で巨匠になるのだろうという先入観を持って鑑賞に挑むから、首をかしげてしまうわけです。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?