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日本人が最も理解しがたい分野は芸術だと、著者は想像してきました。ところが、もっと難しい分野があったのです。経済です。まずクイズを出します。次の三つの説明を、何となくでも理解できるでしょうか。

(1)自国通貨建ての国債は、無限に発行しても返済不能が起きない。(2)ただし増やせる上限がインフレ率で決まる。(3)政府の負債は国民の資産となる。これがアメリカ民主党議員が紹介し、世界の経済界でもめている『MMT』(現代貨幣理論)です。経済界のゴッホ。

国債とは政府が発行する証券です。市中銀行と投資家が買います。国債を担保に政府は銀行振替で、相手事業者の口座へ支払います。高速道路やリニアモーターカーなど。これが、政府から民間への財政出動です。出動の合計残高は日本が1100兆円、アメリカは2300兆円。経済大国はこの負債金額が大きい。増やすとGDPも増える。

人々の理解の壁になるのは、(1)(2)の二条件を合計する点です。(1)で無限に増やせると言うものだから、経済学者たちは激しく反応しました。「お金を無限に増やすのはクレージーだ」「無限ができるなら今ここでやってみろ」「無限は限りなく大きいのだぞ」と。

(2)で上限が規定されるから、無限は原理です。車にガソリンを入れる限り、無限に走れる的な話。しかし「永久機関を信じる宗教か」と騒ぐ者が必ず現れます。二段階ロジックがネック、無限という抽象思考もネック。結果的に「あなたはMMTを理解できますか」が、世界各国で思考力テストみたいに扱われるありさま。

法律にも「以下の場合はその限りでない」など、条件つきの文書があります。とたんに読解不能となる。MMTは地動説や相対性理論や抽象画のように、新たな理解の壁です。ちなみにMMTは中国の成長と日本の衰退を詳しく説明でき、起きている現象どおりの怖い原理です。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?