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「知識は力である」という格言をみかけます。「時代に何が起きているかを知っていれば事件を防げた」「知らなかったから後の祭になった」「無知で国がさびれた」「戦争になった」の結果論も歴史に多いし。

必ず儲かる話は必ず詐欺だと知っていれば入らなかったが、知らないから入って財産を失ったケースもあるでしょう。連続殺人犯が拘置所で本をたくさん読み、「僕に知識があれば殺人していない」と過去を嘆き、犯行時には無知だったからと減刑嘆願した実話もありました。

それなら、美術鑑賞に必要な知識は何でしょうか。私たちは鑑賞のコツを学ぼうと考え、予備知識を仕入れようとしますね。一番多いのは作品の周辺情報で、作品を取り巻く物語やエピソードを頭に入れておけば、わからない作品もわかるだろうと期待しますね。

たとえばゴッホ絵画の美を理解するには、ゴッホと弟の兄弟愛が手がかりになる気がします。ゴッホの暮らしや親族とのきずなをヒントにする人が多く、人情話の切り口でたくさんの本が書かれ読まれてきました。兄弟愛の感動を、絵の感動につなげていく鑑賞法です。

しかし今日では、ゴッホと弟の関係で絵を見てもすれ違うとするのが、美術鑑賞のコツなのです。かえって作品そのものと向き合えないから。街でラーメンを食べるのに、製造元の社史を読んで出向くようなもので、その準備は何か違うなあと。

よくある決まり文句を知らない方が、鑑賞に色がつきにくいでしょう。「ゴッホは美しい」「ゴッホは天才」「ゴッホは狂人」など、鑑賞者を型にはめるフレーズに注意。「ゴッホは絵がうまい」も含めて、実際とはかけ離れたキャッチフレーズも出回っていて障壁になります。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?