FC2ブログ

-
オーケストラ部員の人と、ピカソを話題にしたことがありました。図書館で借りていたピカソの大画集を、その人が数日だけ貸して欲しいということで。民間アパートの隣同士だったから、紛失の心配もなく。学生身分には、自由以外に読書機会があります。

「ピカソの絵はストラヴィンスキーの曲に似ている」と言うと、相手は「確かに」と納得しました。その時想定した曲は『火の鳥』などではなく、もちろん『春の祭典』でした。『春の祭典』はバレエ音楽であり、初演で観客が大荒れになったいわくつきです。

どう荒れたかは、モダンバレエへの拒絶反応でした。ロマンティックバレエやクラシックバレエとは異質な、トンデモなポーズがブーイングの騒ぎを起こしたらしく。曲は舞台の脇役ではあったものの、騒ぎを焚きつけた要素にはなったでしょう。

しかし時間がたち、『春の祭典』の曲は人気が出ていくと同時に、わからないアヴァンギャルドクラシック曲の中で名声ができました。表現の裂け目が顕著なピカソと、作品への反応具合まで似ていました。太陽系外へ送り出した黄金のレコード盤に『春の祭典』は収録されました。

『春の祭典』は変拍子と不協和音、二種のメロディーが同時並行するなどトリッキーで、モーツァルト曲などと全く異なります。テーマを反復するソナタ形式ではなく、サッカーの攻撃みたいに、異なる作戦を連結していくような音楽構成といえます。

1970年代のオーケストラ特集ムックでは、『春の祭典』のレコードを20種以上持っている論者が、ゲオルグ・ショルティー盤を新時代の演奏と評しました。「音のオベリスクを次々と立ち上げる」の言葉で、パルシブな特性を表わしました。ガッガッガッガッと立ち上がり、浪花節にならないピカソは、この音楽と似ています。
関連記事
スポンサーサイト
現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?