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日本の好景気が統計で偽造された事件です。インタビューに多い市民の意見は「政府の統計がそもそも間違っていたらだめでしょ」「官僚が統計を改変するなら何を信じればよいの」。こうした当然の抗議に、少しオマケの注釈もつけたい気がします。

嘘は三つあると言われます。嘘、大嘘、統計の三つ。で大嘘って何?。例は「水の伝言」「ピラミッドパワー」「納豆でやせる」「日本は赤字大国」でした。「それはホントでしょ」と思う人は多いはずで、大嘘の特徴は集団感染力の強さです。流行性感冒並み。

三つある嘘とは、嘘、大嘘に続いて統計だという。この近年の格言は、統計は全部が嘘だという意味です。本当の統計と嘘の統計の、二種類はないという意味です。全部がウソ。ええーっウッソー?となりそうで、人類はやはりその部分が苦手なのでしょう。

たとえば海上で船と船がぶつかったとします。その様子をAさんはこう言います。「ドカーンと音がしてぐわっと傾いた」。Bさんはこう言います。「コツンと当たった」。Aさんの真実とBさんの真実は異なり、どちらの船に味方するかの違いです。これが、統計にも必ず生じます。

統計とは、数字を整理してグラフに示したビジュアルイメージが多く、関係者の願いが反映します。たとえば違いがわずかな棒グラフも、下部を切り詰めれば差を激増できます。円グラフは並び順や色の割り当てで印象が変わるし。関係者に覚えがなくても、必ず強調したり薄めたりの細工が方向性を持ち、透明な存在たりえない。

正しい統計だけ相手にする発想は、何かが変なのです。正しい美術だけ鑑賞しようという発想と似ています。「全員一致がよし」「正解は常にひとつ」と、純粋さを信じて起きる失敗です。客観的な統計はこの世になく、全ての統計は何かがデフォルメされた個人作品といえます。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?