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いわゆる拉致問題で、日本国政府は前に奇妙な行動をとりました。相手国内で亡くなったとされる被害者の遺骨が日本へ返され、日本でDNA鑑定が行われた時。「DNA鑑定を我が国でも行いたい」と、イギリスが持ちかけてきました。遺骨を少し送ってくれと。

日本側は「DNA鑑定は日本だけで十分」とお断りしました。この返事の奇妙さに、報道は触れませんでした。「日本の機材は高性能だから、他国の手を借りずに自前ではっきりとわかる」の意味なら間抜けです。イギリスは、検査能力ではなく証拠能力の話をしているから。

日本は当事国の利害で、検査結果を偽ることもあると国際社会は推定します。イギリスは日本を信じる材料が、ひとつだけでも欲しかったのでしょう。しかし日本は水かけ論が好きなのか、どの国がウソつきなのかを国際社会が判断できなくなるように持って行きました。

日本に特有なのは、「一番詳しい僕が言うから、全くの事実である」という訴え方です。国際間のトラブルに関するネット議論でも、「わが国が信念を貫くなら、第三者の判定などいらない」の声が圧倒的に多い。証拠能力を無視したこの思考は、たぶん戦後日本の反動です。

戦中に大本営発表に染まり本土空襲まで被った日本人が、戦後口にした言い方はこれです。「自分がそうだと思えば、それでよい」。いわゆる戦後のミーイズムです。美術制作でも、「作品を自分が信じているかが大事で、他人は関係ない」の信念にしばしば出くわします。

国際社会では「僕の目を見て信じてくれ」はだめで、証拠能力が大事。ところで美術作品の証拠能力といえば作風ですが、「きれいか」「わかるか」で終わらず、世界は「作者のやりたいこと」をまずチェックするでしょう。これも一人合点の信念でなく、証拠能力が大事。
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Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?