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ドイツの作曲家ヒンデミット(1895~1963)は、1956年に来日してウィーン・フィルを振りました。彼の交響曲とオペラに『画家マティス』があります。ピカソにダメ出ししたフォーヴィズムの画家、アンリ・マティス(1869~1954)が浮かびます。

そのマティスではなく、近世ドイツのグリューネヴァルトです。マティス・ゴートハルト・ナイトハルト(1470~1528)という、表記が何とおりかある画家で、間違った名が有名になったことで有名です。レオナルド・ダ・ヴィンチより28歳年下で息子ほど離れた人。

グリューネヴァルトといえば、フランスのウンターリンデン美術館にある『イーゼンハイムの祭壇画』です。超有名なキリスト磔刑図で、何がすごいかといえば、イエス・キリストがあまりに凄惨な姿で吊るされているという。

中世ゲルマン系のキリスト画には、暗い中に赤を散りばめたグロ系が多く、しかしそのごちゃごちゃドロドロとはやや異なり、シンボリックな構図と妙なすっきり感があります。ドイツとの国境近くで、フランス側の村の教会に飾られた絵でした。

6枚構成の処刑図は観音扉を開けると引っ込み、受胎告知からキリスト復活図まで、希望の図に劇的に変わります。当時の疫病とも関係があるらしく、絶望と希望の落差が表現の裂け目となり、ご利益を発揮したであろう絵図です。だからクリスマスにも関係があります。

『イーゼンハイムの祭壇画』が注目された契機は、ピカソらの20世紀芸術運動と写真図版の発達でした。家で作品鑑賞できる時代。『画家マティス』の3年後に、第一回シュールレアリスム展(1937)がパリで開催され、画風がこのマティスに近いのは当時のダリの絵でした。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?