リーディング・ミュージアム先進美術館の貧困【国内資産を切り崩す】
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?

5月に出た政府の案。「先進美術館」(リーディング・ミュージアム)という構想。公立や私立美術館が「先進美術館」を名乗り、作品を売り買いするディーラー役となる思い切った案です。背景は、デフレ日本国で続く美術館のマネー不足です。GDP横ばいで文化が縮んだツケ。
異常に小さい日本の美術市場をでっかくする、という政府の理念はマルです。ただし美術館の収蔵品を金額査定し、アート市場に流す策は微妙だと感じます。著者は建築計画の美術館研究者でした。政府案にバツをつける理由は、我々のCG絵画を売る話でないから。「ええっ、そんな理由で?」と思われるでしょう。
著者は東京へ出ずに地方都市に残留して、欧米へ手を伸ばす美術作家の一群の代表です。絵は日本では全敗し市場に居場所がなく。こんな権威に遠い美術作家は、権威ある美術館のお墨付き作品で市場をリードする話に、未来を感じません。
美術に似ていない美術の出る幕は、政府案にないようです。日本の宝が埋もれている場所は、由緒ある美術館の中だという前提が政府案。在野が美術館をリードする発想がない。犬を飼うなら血統書つきで決まり、という事大主義です。
日本の美術市場が小さい原因は、血統書なしに作品だけを見て、芸術性を読み取る人の少なさです。苦手な人が多いから、流行らないわけで。苦手だから由緒に関心が集中します。先進美術館は由緒が頼みの上に、民間の画商が美術館員より格下扱いです。前時代的。
もう美術館は泥舟で、資産売却で解体か。ならば不慣れな自助より寄付が先決。ちなみにドイツの美術市場は、町内の通学路でアートフェアを開く「美術の一般化」がまぶしい。普通の家庭に現代美術がある。印象派でない現代絵画。そうなる原因は、国民が美術が苦手でないから。
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