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日本でデザインした中国製の腕時計は980円です。スイス製で80万円の腕時計もあり、600万円の高額製品もあります。80万円にくらべ600万円は何が違うか。文字盤に宝石が輝いています。

価格差の520万円は、ダイアモンド代です。この時ほとんどの人は、その上がった分は材料の値打ちだと気づいています。メカやデザインではなく宝石の値段を意識し、時計本体が優秀だとは思わない。

80万より600万の方が創造的なのではなく、520万円分のマネー資産が付属するから高額だと、即理解するわけです。キャラメルのオマケ箱に1万円札1枚が入っていれば、一箱が他より1万円高い感覚。

ギターでも、100万円までは手作りの工作精度で、さらに上は木材の価値です。ワシントン条約で禁輸の、広葉樹の古材が上乗せされます。ブラジル産ローズウッドや、ホンジュラス産マホガニーなど。300万円超なら、貝殻模様、象眼、インレイ代です。演奏の操作性や音色の向上ではないのだと、ユーザーは心得ています。

ところが美術では、しばしば材料の価値が混線します。典型例は、エジプトの純金の彫刻類です。現在の金相場に換算して何億円だと聞くと、そこに強い関心と感慨が起きて造形的な価値と分離しがたくなり、芸術鑑賞をはばまれます。

その証拠に、銅の古美術だと見に来る人が減ります。黄金製だとモテ方が全然違い、銅製だと展覧会の格までが下がった印象になります。これは常に念頭に置くべきことで、ヨーロッパ国の植民地から持ってきた工芸品が、当時消えた黒歴史が本書にあります。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?