fc2ブログ

-
音楽業界には、世界の音楽に詳しい人がいます。雑学が豊富で作曲家や演奏家にも詳しく、交流もあったり。たとえば、ニューミュージックの大瀧詠一や山下達郎は、1950年代以降の英米のオールディーズ曲に詳しく、いくらでも話が出てきます。

しかし画家や彫刻家に、そのタイプはあまりいません。もちろん国民が美術に関心も低く、どうでもよいこともあるでしょう。ところが実は、美術家が互いに関わらない慣習も大きいのです。

まず、美術家同士の共同制作が流行らない点です。成果を印税で分配する共同作業やプロデュース制がなく、一人寂しく作品を作ります。コラボしても異業種。しかし決定的なのは、わざと作品に出会わずにいることです。

要するに模倣対策です。情報を頭に入れず、似ないようにします。色々と知れば似た作品が現れるのも必然で、自分らしさが出せない危険があるから。自分を出すことが、音楽より美術の方が難しい事情です。

しかも人々からは、美術は音楽ほど区別してもらえません。著者の絵も「ピカソみたい」「ミロみたい」「ダリみたい」と三つとも言われました。全く異なる三大画家に、同時に似るわけはないのに。それほどまでに、「絵なんてどれもいっしょ」と人々の目に映るわけです。

音楽にたとえれば、ベートーベンとラフマニノフは同じ、ビートルズとイーグルスは同じ、美空ひばりと安室奈美恵は同じという感じ。むろん音楽ならその程度は区別されますが、美術だと区別されない。せめてどれとも似ないようにと、芸術家は他人の作品を見なくなります。
関連記事
スポンサーサイト



現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?