フュージョン音楽は青空スムースジャズに限らず【日本のお寺の影響】
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?

フュージョン音楽はジャズ出身で、出世魚のように呼び名が変わりました。1960年代にジャズロック、70年代にクロスオーバー、80年以降はフュージョン、90年前後にスムースジャズ。全てにまたがる典型は、スティックス・フーパー率いたアメリカのクルセイダーズ。
フュージョン音楽を語る一般的な枕ことばは、さわやかで心地よく青空でハッピー。その顔役たちも軽くて影がないタイプです。好感を持たれつつも軽くみられる理由は、むろんノリの軽さと影のなさでしょう。
フュージョンがジャズ界で格下にみられるのは、日なただけで構成した明朗が理由らしく、何となくイージーリスニング扱い。そしてジャズは夜で、フュージョンは昼というイメージ。この割り切り方に、影差す曲を敬遠する大衆心理が読み取れます。
当初のフュージョン音楽の多くはジャズのリズムを多用し、ロック的なタテ乗りではなかった。そしてジャズ由来だから、セブンスコード以上の複雑なジャズコードを使いました。影差す和音が主役。
だからアメリカのフュージョンの傑作は、影差し屈折した曲が実は多いのです。落ちては天上に伸びる起伏と、転調の多い作風で。これは芸術の新定義とした、表現の裂け目に該当します。平坦な青空の快適でひとくくりにすると、もれてしまうダークな部分です。
フュージョンのメインストリームには、かげりの多い内向的な曲調がよくあります。一例はチック・コリア作曲『シルヴァー・テンプル』で、建物の陰なる影に魅せられたのかも。月もイメージしたミステリアスな庵ふう寺院。昼の顔『ゴールデン・テンプル』でない点がミソ。
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