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「キャンバス画はもう古いから排除して、これからの時代はガラクタを積み上げよう」と叫んで、インスターレーションが日本のギャラリーを席巻したのは1980年代でした。好景気へと少しずつ向かうあの頃。日本中が明るくて夢があった時代。今とは違う雰囲気。

ビギナーたちは粗大ゴミに斬新を感じ、美術の最終形キターと大感激。現代の創造が、従来の小難しい美術を駆逐したぞと。まさかすたれるとは思わず。潮目が変わったのは、阪神淡路地震のガレキだったと、後に美術雑誌に出たはず。ヤラセでない本物にアートが負けた説が。

痴漢騒ぎの2017年のブラックボックス展は、21世紀のアイデアと思った方も多いでしょう。どっこい似た例が、第一回シュールレアリスム展にあった。1937年、第二次世界大戦より前のパリ開催。19世紀生まれも出品した、80年前のエポックな実験展示でした。日本ではダリの印象ばかりで、理解されないシュール。

記録された参加美術家たちの証言では、美術でないものを置き、思わせぶりのほのめかし表現が出尽くしていた感があります。昭和末期の日本を「既成の概念を超える」と盛り上げたアイデアたちは、西洋では戦前の往年の表現でした。床に何かをまくなども。

1960年代の読売アンデパンダン展など、ガラクタ展は大々的に新聞報道されたものでした。最新の突飛な現代アートも、既出の焼き直しパターンが多い。今初めて知った人にのみ史上初で、実は祖父の代より前の古ネタ。今最高齢の人より年上の人が実行済みで。

シュールレアリスムの絵や彫刻には固有の形があるから、もう模倣する者はまれです。しかしブラックボックスなど無形の表現は照合不能だから、模倣が盛ん。著作権も意匠にあれどアイデアにはないから、アート無罪以前にパクリ無罪です。その手っ取り早さで、大学でも一年生たちが駆け込み参加する時、思わせぶりな無形表現に向かうわけです。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?