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どこかと問われるなら、作品ですと答えます。作品のどこなのかに対して変な答ですが、要は作品以外に注目しての鑑賞は失敗になるという、最大の注意点です。たとえば作品近くに金賞ラベルがあると、自由に見ることは人間には不可能です。人は情報にいちいち左右されるから。

ならば金賞ラベルはじゃまだからなくせという意見は、音楽や映画ではよくあります。優れた作品かどうかは視聴者の僕らが決めるから、称賛を並べて飾ってあると逆に目ざわりだという。音楽や映画では。

ところが美術だと、金賞ラベルは引っ込めの声はあまり出ません。たぶん大勢が頼るからでしょう。手がかりが何もないと鑑賞しにくいのが、美術の事情だから。ネットにアート作品評サイトが少ないのは、優れた作品かどうかを僕らが決めきれない、美術鑑賞の事情でしょう。価値がわからないから上が貼ったラベルを頼ることになって。

このように美術に生じやすい特殊化は、日本で目立つ現象です。ヨーロッパでは、絵に金賞ラベルをつける必要性はずっと下がります。自分で直接作品を見れば早く、美術鑑賞も音楽鑑賞や映画鑑賞に近いという。

では作品以外の評価情報カンニングをやめたとして、次に絵のどの部分に注目すべきか。もちろん全体です。重要なのは作品との距離です。作品の全体像を把握できる距離は、そう近くではないからです。目の視野角の生理的な限界があり、パッと全部見えるのはやや遠め。

試しにパソコン画面いっぱいに画像を映すと、目を画面から十分に離すことで全体がつかめます。一メートル以上とか。逆に顔を近づけて画面をのぞき込むと、職人芸モードの観察に転じ、勉学に近づきもします。遠くから見る方が、芸術性の把握は容易になります。意外なことに。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?