Archive2017年04月 1/1
絵の向きを天地逆にかけてしまう【シミュラクラ現象や迫力増大現象】
展示壁に平面作品をかける時、作者以外は作品の天地逆や横倒しに置くミスを時々やります。著者も両方とも失敗したことがあります。受難は抽象画がほとんどで、人物、静物、風景の具象画三点セットではまれです。ただし略画だったり、全面に芝生を描いた具象画ならあり得ます。木目の写真なども間違いやすい様式です。作者側は事前に、向きがわかるよう工夫します。額やキャンバスを吊るひもの付け根を上側に寄せるとか、ペーパー作...
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絵を掲載する向きを間違えた作品カタログ【作者だけがすごい違和感】
かつて著者が公的な学生展に出品した時のこと。カタログ図版が届き、ページをめくって自分の絵を見つけた瞬間、強い違和感がありました。数秒間は、何が何だかわからない状態。よくよく見ると、作品が左右逆に反転して掲載されていました。想像以上の違和感です。おもろい。現在の書店に並ぶ本も雑誌も美術カタログも、全てがDTPと呼ぶデジタル編集で版がつくられ印刷されています。パソコンソフト上でレイアウトし、活字と画像を...
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日本のサブカルイラスト対ピュアアート【ジャパンコンテンポラリー】

海外の目に映る日本文化のイメージリーダーは、サブカルチャーです。1963年の『鉄腕アトム』(アストロボーイ)以降のアニメ作品群が他国でも放映され、漫画コミックも輸出され、各国にオールドファンが多い点も理由でしょう。パリの「ジャパン・エキスポ」や各国の「ジャパン・フェスティバル」などでも、サブカル系のプリント商品やコスプレが、茶道、華道、書道などとともに会場を飾ります。新旧伝統の「新」がサブカルみたい。...
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棟方志功の絵の購入者は複製画を発売できるか【美術品の著作権入門】
絵画を買うなどして作品の実物を手に入れたら、複製画を作ったり、絵はがきやカレンダーに使うことは容易です。しかし個人や団体に所有を移した絵を、果たして自由に複写してよいのか。ここには、ベルヌ条約という国際的な規約を元にした法律があります。ベルヌ条約の本部はスイスにあり、文明国はもちろん加盟しています。日本は何と19世紀の1899年(明治32年)に加盟し、創造保護国として欧米文明クラブに所属してきました。そこ...
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陰謀説をアートの説明に出している理由【思想と願望が事実を歪める】
大規模陰謀説がネットで目につきます。一例は、1985年にジェット旅客機が群馬県の山中に墜落した事故。524人中520人が亡くなる惨事でしたが、ネットには在日米軍がミサイルで撃ち落としたのが真相だと、繰り返し出てきます。自衛隊犯行説もあります。政府は今も本当のことを語らずに黙っている、と結んであって。何を感じますか。そんな話は荒唐無稽だと国民がスルーしたら、むしろ信者は増えます。現代人の行動は、ネットにある記...
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時代が進めば自由が小さくなる芸術の逆進性【アゲハチョウ表紙禁止】
人がなかなか測りにくいものに、時代の自由度があります。昔にくらべ今はすっかり自由になった実感がじゃまします。難解なゴッホやピカソもすでに認められる現代は、古い時代より度量が大きいはずだと。美術作品は年々許される範囲が拡大し、新作品もより自由になっている体感です。今の僕らは最高の物に触れるのも自由、知識もどんどん蓄積し、ほぼ全知全能を達成できている自信が、現代人の正直な文化感覚でしょう。歴史上のほぼ...
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ゴッホの絵は生前に本当は何枚売れたのか【知人に譲渡していた生前】
ゴッホは生涯絵が一枚も売れなかった説があります。売れ数ゼロ説は、後世の画家の発言に比較的よくみられました。高階秀爾編集の小型画集『ゴッホ』では、一枚だけ売れたとありました。本書は一枚説をとっていますが、もっと売れていた俗説もあります。ただし・・・ゴッホは実は売れっ子だったという説は、認知の不整合を埋める目的でよく出てきます。当時は売れず今は最大級の巨匠である。その食い違いの違和感を消そうとして、実...
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超有名作品が別人の作と発覚すれば何がどうなる?【ゴヤの名作巨人】
交響曲の数は、ベートーベンが9曲、マーラーは10曲、ショスタコーヴィチ15曲。1曲の規模は違うものの100曲以上あるハイドンは、「交響曲の父」と呼ばれます。最大級の人気が、『おもちゃの交響曲』です。キリキリキリ、ピヨピヨピヨと玩具の効果音が印象的なあれ。しかしとっくに、ハイドンの代表曲ではなくなっています。ある頃に、レオポルト・モーツァルト、つまり超有名なアマデウス・モーツァルトの父親が作曲したと判定され...
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美術の本を読まない人に向けて本を書く矛盾【曜変天目茶碗の縁遠さ】
美術の本は、何となくどれも同じに思えます。固い調子でかしこまっているか、美辞麗句を並べて師への敬意もべたべたとか。ところが本書は異質で、よくある疑問に答えるために聖域なき前提でどんどん踏み込んでいくから、既存の出版社からは出せない禁書でした。たとえば1988年に出版を断られた時には、裸婦の銅像をめぐる高齢男性の性衝動の問題に触れていて、編集者から注意を受けました。やはりタブーでした。今の日本では高齢化...
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日本で主張は歓迎か敬遠かどっち【ネットには主張した絵は嫌いだと】
言い出しっぺは不明ですが、次のような全国放送がありました。「日本国民は自己主張しなければと、みんなが思わされているから、みんなが疲れています」「自分は主張しなくてもいいんだと力を抜けば、楽になりますよ」と。日本国民の疲弊原因を分析した人生訓。たぶんこのアドバイスは、前提が事実と違うでしょう。国民に期待されるあり方として、どういう強制圧力や矯正圧力や共生圧力があるかは、マスコミの論調を追っても無意味...
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