Archive2017年03月 1/1
曜変天目茶碗の事件は今どうなっている【話のわかる人がいない日本】
テレビ番組で第4の国宝級『曜変天目茶碗』と鑑定された茶碗は、今も宙に浮いています。このもやもやは、美術全般のぼやけた雰囲気と同じです。ここで、事件を元にした脚本を考えました。映画化決定。『モナリザ』は、実は2枚あります。レオナルド・ダ・ヴィンチは2枚描きました。最近、テレビ番組がもう1枚の『モナリザ』を見つけました。3枚目の大発見です。評価額は2500万円。「んっ、かなり安いぞ」と専門家たちは首をかしげま...
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ゴッホは本当に統合失調症だったのか【芸術理解コンプレックスとは】
あの美術家は頭がおかしい、この画家は狂っているという話題は、昔からありました。一番多く言われたのは、おそらくピカソでしょう。一方で日本で最近、「ゴッホは統合失調症だ」とする説が多くみられます。この説はもっともらしいデマです。通りのよいデマです。そもそも「統合失調症」という近年よく聞く精神病には、周囲が気づく陽性症状があります。関係妄想や思考障害、テレパシーやさとられ系の脳内乗っ取りを体感し訴えるの...
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楽焼き茶碗は日本式のピカソだと外国の声【日本の美学は自由な歪み】
『曜変天目茶碗』をきっかけに、陶芸分野への不信感や、骨董趣味への嫌悪がネットに噴出しました。前に触れた話は現代アートが同人オタク化し、国民に新興宗教的に映る懸念でした。その手の信仰世界を陶芸に感じる人が多いことが、今回ある程度わかりました。陶芸への不信は、違いのない作品に大きい価格差がついたり、見た目と逆転している場合に高まるでしょう。そういえば落語に、庶民と目利きの価値意識がすれ違うネタがありま...
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芸術の話題が必ず難しい話になるのはなぜか【二種類に分けないから】
このブログは、難しいと感じる方が多いかも知れず。意味がよくわからない回もあったことでしょう。それは説明のし損ねも含めて、芸術分野に難題が多い反映もあったでしょう。厳密度もそうで、円周率は3より3.14と詳しくした方が難しいこともあり。その昔、現代美術展へ行った人から、「全然わからなかった」と不満を耳に入れました。どうリアクションすべきか迷いました。一口で答えられなかったから。その人をかばえばよいのか、...
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本当の本当は、誰もが最初からわかる抽象造形【ならば具象は何なの】
日本に伝統的な絵画の型が色々とあります。「梅にウグイス」「竹林」「鯉の滝のぼり」など。日本画の団体展でも見かけて、カタログショッピングにもそうした伝統スタイルの絵画や版画が用意され、外国向けのみやげ品にもなって人気です。そんな定番のひとつに「富士山」があります。「赤富士」「雪の富士」「夏富士と鶴」をはじめ、膨大なパターンが普及していて。江戸や明治の浮世絵にも登場し、古典的な題材としても定着済みです...
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現代美術は自由すぎるから問題か【三大画家タイプとダダ運動タイプ】
現代美術への批判で多い言い方が、「自由過ぎるのはよくない」です。「過ぎたるは、なお及ばざるがごとし」だとして。程度の問題、というやつ。控えめな自由は好ましく、行き過ぎた自由は好ましくない意味。自由過ぎた作品で美術界が荒れて、庶民と切れてしまったのだと。この文脈で、ピカソの抽象画は自由過ぎてまずかったと言いたげです。ピカソがもう少し不自由で型にはまった絵にとどめていたら、現代美術のわけわからん状態も...
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脳科学からみた日本のサッカーとアート【失敗を許さぬ堅実さの限界】
20世紀の終盤によく言われたのは、「21世紀は脳の時代になる」でした。機械工学と電子工学に続き、AI、人工知能が主役となる予想。並行して、人の脳のはたらきも本格的に解明する時代。脳医学や脳神経医学より、さらにソフト面を研究する脳科学もそれです。脳科学者の中野信子の指摘はたいへん興味深く、日本男子のサッカーが国際試合で勝てない理由は遺伝子だそうです。日本人はDNAのレベルで、失敗を減らすために冒険を避ける設...
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現代アートが新興宗教みたいに言われる【内向き愛護や身内批判禁制】
現代アートを普及させる活動が国内にいくらかあります。制作ではなく紹介する役目。こちらの味方になる親しさも感じますが、何に苦心しているかで「うーんちょっと」となる点があります。それは、現代アートを愛護している点です。現代アートは良品の前提。現代アートの良さをわかってもらう意識で、もっともっと多く広く市民に紹介して、大勢に触れてもらって楽しんでもらう方向です。その際に演出される、善玉扱いの部分が引っか...
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現代アートにみられる合成の誤謬【目になじまないうちが芸術の創造】
テレビやラジオの評論家が時々はさむ言葉に、合成の誤謬(ごびゅう)があります。誤謬とは間違っているという意味です。合成の誤謬を簡単に言うなら、「それをみんなが言い出せばどうなる?」「全員が同時にやれば悪い結果をまねく」という意味の慣用句です。合成の誤謬の代表例は「節約」です。一人が節約すれば、その人の暮らしは好転する場合があるでしょう。しかし全員が節約すれば、物が売れなくなって店や企業は倒産し、シャ...
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抽象画がわかる人は何を考えている【具象だけがわかる脳の動作制限】
「具象画のみわかる」という人はいても、「抽象画のみわかる」という人はいませんよね。抽象画がわかれば、具象画もわかるから。抽は具をカバーし、具は抽を必ずしもカバーしない。つまり抽象画がわかれば、全ての絵がわかり、芸術の全体像が読める。これがどういう話になるかといえば、具象のみわかる状態は、脳の一部が機能停止している疑いです。こんな話は、美術界で誰もやりません。脳科学界なら平気でも、美術界では苦手な話...
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