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Archive2016年11月 1/2

美術界の分裂はイデオロギー対立とは違う【美術ヘイトがうざい日本】

難解問題と盗作問題は、実は関係があるという前回の続きです。「難しい、わからない、ちょっと」の広まりは、芸術性の物差しでもめている影響もあるという耳寄りな話でした。ある国民の行動が総じて混濁している時は、特殊な慣習と本質論との板ばさみがあるものです。「そんな分裂なんてないの!」とか「今はそんな時代じゃない」「イデオロギーの話はやめよう」などといくら言ったって、分裂は堅固です。どの色を白と呼ぶかの根幹...

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盗作絵画の受賞騒動も内部分裂で説明できる【やり得のオマージュ美術】

日本の絵画コンテスト展で、盗作事件が時々あります。大賞や金賞などの取り消し騒ぎ以外にも、盗作は頻発しているとも言われます。これは同じ日本で、「芸術は難しい」と言う声が多いことと関係があります。「何だって?」「どうつながるの?」と思われることでしょう。一般論からすれば、許可なしのパクリは刑事犯罪だし、賞を盗もうとしたあつかましい悪いやっちゃと、モラルを疑う声も出てくるでしょう。盗作者の方も、元ネタ作...

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絵画がわからないと訴える裏には日本の内部分裂がある【芸術の定義】

このブログには8冊組の本にはない話題が多いのですが、ここでいきなり「芸術の難しさ」のさわりのひとつに触れます。「さわり」は序の口の意味ではなく、ヤマ場の意味ということで。芸術の難しさといえば、変な作品を見てわけがわからず、どう解釈してどう味わうかで途方に暮れた件が多いでしょう。が、それだけではありません。作品の優劣を測る物差しそのものが、どう目盛られているかが不明瞭な意味もあるのです。絵がどうなっ...

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好きか嫌いかで斬ることは芸術的か【全く誰も許せない絵画の創造性】

現代美術のガイド本によく出てくるコツに、好きな作品を見つけて相手にせよというのがあります。作品説明も読めば一点ぐらいは好きになろうから、そうして一歩ずつ進もうというアドバイスです。これは実は、典型的なアンチ芸術主義です。昔から言われていることですが、芸術は好感が持てない領域に集中しています。「いいね作品」は芸術性が低いのが常で。これは偶然ではなく創造の性質による道理です。芸術作品は突飛や異様だった...

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わかるかわからないかの分岐点が大問題の日本【予備知識が害になる】

「月が真ん丸な夜は暗い月食になるはずなのに、明るい満月なのはなぜか?」の謎を解くカギは、程度の問題でした。「真ん丸」の丸さもピンキリで、精度が高い夜は月食、低い夜は満月になるだけの話です。この謎が中二の生徒に解けなかったのは、満月は真ん丸だという予備知識が、完ぺきな真円ありきの先入観となったせいです。精度の概念が抜けていた。予備知識がつくる先入観は、普段の暮らしでも失敗の原因になりますが、美術や芸...

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美術のバズワードで鑑賞者は混乱【絵をわかるとは何がどうなること】

バズワード(Buzzword)とは意味が安定しない言葉のことで、相手に通じなかったり誤解をまねく単語です。一例はIT分野で多用される「クラウド」で、元から「群衆」と「雲」など異なる意味があり、クラウドコンピューターなどと言っても話がみえません。前に美術のバズワードとして「上手」をあげましたが、「わかる」もそのひとつです。展示会場でゴッホの絵を見るとします。その時の「わかる」の意味は、「自分はひまわりだと見破...

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スーパームーン撮影【満月が常に月食とは限らない理由がわからない】

11月14日の夜は、月と地球の距離がぐっと近づき、しかも満月でした。スーパームーンと呼ぶ、68年ぶりの大きい満月です。薄曇りの中で撮影しました。満月や名月を見て、思い出すことがあります。中二時代に、副委員長の女子生徒が授業の直後にたずねてきました。「満月は、太陽、地球、月の順に並び、地球から月を見ると真ん丸になる。ならば暗い皆既月食になるはず。なのに明るい満月なのはなぜか」と。「あたし、どうしても絶対わ...

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111 鏡はなぜ左右だけが逆に映るのか

鏡はなぜ左右逆に映るのかは、それだけで本が何冊も書かれてきたほどです。上下は逆にならないのに、左右だけが逆になる不思議です。鏡の謎は他にも、向かい合わせの鏡に映った像はどこまで続くかや、映った物を写真に写す時のピント位置など、いくつかあります。しかし本を読んだ後も、鏡の左右逆転の謎は再発しやすいのです。ネットにも謎解きは出ていますが、なるほどと思わせるわかりやすい誤解釈で納得し合っているケースもみ...

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104 美術鑑賞の予行練習

最近テレビであったというハプニングです。交差点の種類は、四つ角を十字路と呼び、その四道路のひとつがない三つ角を丁字路と呼びます。「じゅうじろ」と「ていじろ」。道路交通法にも、そう明記してあります。ハプニングは、番組取材中に道をたずねて起きました。地元のおじさんが「ていじろ」と何度も言うと、タレントが皆で笑ったのです。リポビタン・デーでも連想したのか、「ティージロ」の田舎なまりが「テイジロ」だと思っ...

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81 現代美術展はなぜつまらないのか

せっかく来たのに、現代美術展がつまらないと感じる。それは鑑賞者の不勉強が原因ではなく、現代美術の作られ方にある種の集団的偏向がある場合が多いという問題です。偏向が全般的だとすれば、見て納得の人と落胆の人に分かれたままなのもおかしくない理屈です。現代美術は同人化されぎみで、鑑賞者の入口は最初から小さいのです。そして、現代美術を理解する本やガイドがたくさん出され、どれも個別の入口へ鑑賞者を引率していま...

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71 夢路いとし・喜味こいしの漫才と芸術

おもしろい漫才とつまらない漫才に、かなりの開きがあると感じている人は多いことでしょう。笑えないし、おかしくもない漫才もあると。ここでは、あたり漫才よりもはずれ漫才が圧倒的に多いと感じている視点に立って、漫才芸術論を語っています。漫才のおもしろさには、美術作品の感興と似た点があります。おもしろいギャグが含まれている意味ではなくて。しかしおもしろくなりかかった瞬間に、演じる側がつぶしている失敗も多いの...

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54 超能力を楽しみ、美術を楽しむ

スプーン曲げは、1970年代には科学を超越した念力とされました。本物の超能力はあると思うと多くが言い出し、90年代の新興宗教家の空中浮遊術へと続きます。しかし今日では、超能力は芸術と同じエンターテインメントのカテゴリーに変化しました。科学で扱うこともめっきり減って・・・ネット時代に、超能力を信じる声はさらに減りました。人間が持つ隠れた超能力に果てしなき可能性のロマンを感じていたら、こうやりますと手品師本...

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43 生きた線、死んだ線

現代抽象画と近代具象画は、まるで水と油の関係です。が、実は共通した悩みでつながっています。具象画について今昔をくらべるだけでも、昔の方が生きた線の出現が多いのです。日本の近代洋画の古典的な有名どころは、意外に生きた線を引きまくっていた事実があります。具象か抽象か以外に、線の生死でも絵は二分できます。絵画で、ある形式が長期間作られ続けて、当初は線が生きていたのに、全般にだんだんと線が死んでいき、つい...

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18 現代美術の目的は何か

人は何をどうしたくて、アートなるものを作るのか。そして、現代美術は何のために存在するのか。もちろん時代によって場面によって、変わっていることは見当がつきます。時がどんどん流れて、美術はどう変わってきたか、美術が折々に何かを得たり失った流れをたどれば、現代美術の見方も焦点を合わせやすいかも知れません。もっとも、絵が18世紀前半と後半で違うような細かい話は不要で、ざっくり大づかみにとらえることが大事でし...

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15 美術のメセナはゴッホを拾えるか

メセナとは、民間の芸術支援です。官が加わるとまた別らしくて。日本に美術メセナがあるのは、優れたアートを発掘する好ましい体制と思われることでしょう。しかしよく考えてみれば、公募コンテストでは優れたアートを発掘できないのか?と突っ込みが可能です。応募作から選抜する公募展は、本来はメセナにもなっている理屈です。新しい若い胎動、あるいは長年見過ごされた隠れ創造を、情実や縁故を排して、白昼堂々と支援するのに...

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絵に額縁をつけないと展覧会でまずいのか【なくてもいける海外展示】

日本の公募展は、絵画に略式の額縁をつける条件が普通です。ないとキャンバス側面に布が見え、絵具付着や釘も錆びていたりで体裁も悪いからでしょう。大学でやる絵画展でも、学生は額縁の調達に悩みます。学生とて高価な額やアルミフレーム類を自腹や部費で買い、側面を隠して本格的な絵に見せようとします。廉価なアルミの仮ワクも、キャンバス一式より値段が高いので負担でした。木材を買ってノコギリで切り、キャンバスの四周に...

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建築パースに現代美術を感じないのはなぜか【何でもありじゃないし】

建築パースがちゃんとしたまともな絵で、かなりのハイテクニックであっても、芸術とは感じない話の続きです。建築パースは現代美術にも認識されず、現代アート展に投入されることもなさそうです。現代アートは「何でもあり」の「自由奔放」がふれ込みです。開かれていて、範囲が無限大のリベラルなイメージ。展示室に砂利を敷き詰め、ゴミを積み上げるのもよくて、便器を置いたりバケツ200個もあり。1000個なら大作。現代アートは...

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建築パースに芸術を感じないのはなぜか【真っ当なまともな絵の運命】

建築パースとは、透視図法(パースペクティブ)で描いた、建物の完成予想図です。建設前に家やビルを描いて施主にイメージしてもらう目的で、外観パースやインテリアパースがあります。設計者が建物発注者に見せて打ち合わせに使う、美しく整った水彩の風景画です。正確な形状と理想的な画面配分。巧みなデッサンと高いセンス、手慣れたタッチと繊細な色使いで、味わい深い絵も多くあります。行き届いて良心的。でも最も優れたパー...

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芸術の奇才や異才を無視するのは本当に嫉妬か【実はわからないだけ】

日本の各分野で、奇才や異才は排除されやすいと言われます。創造的才覚に冷淡で足の引き合いばかりだと、怒りの意見がネットでもよくあがります。他人の才能を活用せず消し去る国民性だなど、内部告発する声がとても多いのです。その声が一気に噴出したのが、STAP細胞の余波部分でした。研究所内で部下の才に嫉妬した上司たちが論文を辞退した「ストップザ天才」説が、一時は国内ネットで強く支持されました。今も著名人のブログに...

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日本人形の髪が伸び、夜に涙を流す怪談シリーズ【USJ呪い人形ホラー】

関西の外資系テーマパークで、日本人形がお化け屋敷のホラー小物に使われ、苦情が出た不思議な事件です。家庭で不要になった日本人形を供養するために、奉納を受ける神社があるそうな。その神社が、テーマパークに日本人形を大量に貸したのが発端とされます。この事件で初めて知ったのは、テレビスペシャル特集番組で日本人形が怪談に使われるたびに、人形を製造する業界人たちが業を煮やしていた事実です。前は聞いたことがなかっ...

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