Category芸術アラウンドトーク 1/3
新自由主義では技術伝承が途絶え国が滅ぶ【ディープ・ステート序論】
昭和のベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(1979)どおり日本が経済成長した原因は、西側国のケインズ主義経済を追い風に、日本に顕著とされる「集団主義」「協調性」がイノベーションに有利にはたらいたからです。伝統的なチームプレイが日本の強み。なのに平成は『失われた30年』が34年目に入り、経済低落と貧困化でボロボロなのは、西側国の新自由主義経済を追い風に、日本が苦手とされる「個人主義」「自己責任」へ...
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組織のトップは孤独に追いやられがち【社長は孤立し空転しやすい】
著者は若い頃から企業のトップを敬遠したりせず、わりとよく話をしたものです。というのは、人間の一人一人は特別な存在ではなく、共通した感覚でみんなが同じように思考し、普通に煩悩も持ち、たいしたものではないと見込んでいたせいもあります。釣りバカ日誌的ではなくても、何かを切り口に話題を持ちかけることが多かった。そして実はどの企業でも、トップは孤立して浮いてしまいがちなのです。理由は、上の人間なのでよそ者み...
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音楽のメロディーの枯渇は明らかに起きている【創造のニッチ化】
イタリア製西部劇をアメリカではスパゲッティー・ウェスタンと言い、日本ではマカロニ・ウェスタンと呼びます。アメリカの西部劇との違いは、ならず者集団のむごいリンチのシーンを含んで、おたずね者を始末する賞金かせぎの多さ。最近『怒りの荒野』の短縮版を見ました。マカロニ映画が全般に言われるのは、サウンドトラック曲の良さです。傑作曲が集中しています。同じ1960年代の別ジャンルの映画も、音楽が光るものが多い。1960...
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フェイク情報にだまされるな論【元寇の神風は嘘だとわかる?】
世界中のロック音楽によくあるのが「世界は嘘だらけだ」の歌詞です。ジョン・レノンもそんなことを語っていたようでした。嘘だらけとは「10個のうち3個も嘘がある」どころか「10個全部が嘘なんだ」という絶望的な意味で言っています。なぜ現実世界でそんなことが起きるのか。ひとつは、情報伝達の難しさであり、いわゆる「伝言ゲーム」となって変容が起き、強弱が変えられたり、削られたり尾ひれがついたりで、どんどん別の話に作...
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日本のまちづくりは過去を伝える手法【記憶と界わい性の芸術】
著者は建築計画と設計デザイナーとして、都市計画や地域計画に何度か関わりました。いわゆる「まちづくり」ですが、日本の建築教育に常にある良心がありました。初段のサーヴェイ作業で歩いて、当地の伝統を探し回り、捨てないで引き継ぎます。これは日本の行政が求める「スクラップ・アンド・ビルド」、取り壊しては新築する方針へのカウンターになっています。行政に対してノーと言う視点が、特に大学の地域計画学の根底にありま...
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映画の制作者たちの悩みは観客の理解力【犬神家の一族はすごい】
映画でラストが近づき、ストーリー全体が一気に見通せる瞬間があります。「全てに恵まれた者が、必ずしも有利でもないし、勝利が約束されてもいない」などと、その映画から導かれる教訓が浮かんできます。ところが、俳優がその結論をしゃべってしまう映画があります。「全てに恵まれた者が、必ずしも・・・」のセリフを、登場人物がしみじみと語り出すのです。蛇足ではないかと感じることも。「映画全体で言いたいことを、主人公が...
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女子プロレスラーを自殺させたSNS攻撃【テレビの洗脳効果が怖い】
女子プロレスラーのテレビでの言動をSNSで非難するうちに、女子プロが気に病んで自殺していた事件。警察はさらに調べて死を強要した脅迫者を摘発するそうです。SNSの怖さを言う声が多いのですが、テレビの怖さも大きいといえます。怖さの正体は洗脳効果です。この話は何度か書きましたが、テレビのバラエティ番組に出演した人の第一印象は「何が何だかわからなかった」です。いつ撮影したのかわからず、スタジオでの体験とは異なる...
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ビートルズ『ブッチャーカバー』の踏み絵【ベトナム戦争の時代】
ジョン・レノンの生誕80年展が東京で開催されました。ビートルズの最大の不思議といえば、一曲ずつの画期性と破天荒が、完全主義でまとめられている点です。その破天荒の一面が、七不思議のひとつでもある『ブッチャーカバー』です。過去作品のオムニバス盤をアメリカで出す時、担当の写真家が怪異な案を考えました。メンバー四人が精肉店の白い服を着て、生の肉片を手にしたり体に乗せ、首が取れた赤ちゃんの人形も持っているジャ...
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人それぞれ論や好き嫌い論を持ち出さない理由【表現への許容の狭さ】
音楽の動画にこういうのがあります。「自分はこういうアルバムが好きです」。ベストアルバム二十枚とかを紹介する映像。すると次の意見が必ず投稿されます。「要は人それぞれってことでしょ」。「個人の好き嫌いで自由に聴けばいいんですよ」。人それぞれも、個人の好き嫌いの自由も、むろん最初から大前提です。なのに、わざわざ念押しするのはなぜなのか。こうした奇妙な書き込みがネットの色々な場面で目に入ります。そういえば...
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銀行の担保物件と自己資産第一の体質【美術もまた価値担保第一主義】
日本全国が消費バブル経済のピークとなった年は、1992年でした。その3年後のWindows95によるITバブルは、97年の消費税5パーの緊縮財政のたたりで日本版GAFAが生まれることなく失墜。人類史上最長のデフレ不況国となり今に至りますが、当時の問題児は銀行でした。当時の焦点は、バブル時代に根拠なく高騰した土地価格の暴落で、不況業種となった銀行でした。「政府は税金を注入し銀行を助けよ」と他国からの忠告はあっても、日本国...
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映画音楽のサウンドトラックは二テーマ方式【モチーフから編曲派生】
昔のベートーベンやチャイコフスキーに、現代のどれが該当するかは、クラシック畑の現代音楽よりも、映画音楽の管弦楽曲が勝ち抜くと感じています。ETやレイダースのジョン・ウィリアムスも、100年後の定番クラシックになるだろうと予想。映画音楽のサウンドトラックをアルバム単位で買うと、おもしろい法則があります。テーマ曲が二種類あり、それぞれをモチーフとして編曲してあったり、楽器編成も替えたバリエーション曲が、場...
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本を読み美術を見て得るものは何か【中身を記憶に刻むことではない】
世の天才や事業成功者たちは本を読まないという秘話は、どうもウソらしいのです。インタビューなどで、人一倍本を読んでいることを告白しています。では、人はなぜ本を読むのでしょうか。本の効用は何か。家にある本のほとんどは、一度は全ページを読破しています。ところがその一冊を手にとって改めてページを開くと、意外に新鮮です。かつて読んだはずの文章はほとんど忘れていて、今初めて読んだかのような新発見があることも多...
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音楽人気に潜む不協和音【モーツァルトやベートーベンから進まない】
クラシック音楽の人気は広がっています。しかしやはりどうしても生じてしまうのが、古典の古株作曲家からなかなか脱出できない問題です。コンサートがそうで、モーツァルトやベートーベンからなかなか出られていません。19世紀の作曲家チャイコフスキーの曲というだけでも、むしろ新しい方に入るような感じがあるのです。実際のクラシックファンはもっと新しいソフトをコレクションしているものですが、コンサートとしてお客を集め...
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音楽業界にアコースティックベースが増えてきた理由【アンプラグドの生音回帰】
ポピュラー音楽には音作りの歴史があります。音づくりとは、楽器の種類と演奏法に、録音機材も含め音質の時代色もあります。1960年代にくらべて、1970年代の音楽は音づくりが腰高になりました。60年代はダンダン鳴っていたリズムが、70年代はタンタンと軽く乾いた音に変わりました。理由はいくつもあり、まずベースギターの奏法にサムピッキングやチョッパー、タッピングが生まれ、スタッカートを多用したこと。そしてレコードへ入...
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文系脳と理系脳の考え方の違い【10個の2倍多いのは何個か】
一昔前に新聞社などがよく行った、謎のアンケート質問がありました。「あなたは憲法9条を変えるべきだと思いますか」。これにどう答えればよいのでしょうか。質問の中味を置き換えると、その無意味さがわかります。「あなたは自分の月給の金額を変えたいですか」。変えると言っても、金額を上げるか下げるかが不明では、はい、いいえの希望を答えられません。このような質問が出てくる思考を、俗に文系脳と呼び称します。そして、...
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地球温暖化と血液型占い【二酸化炭素のおもしろ心理学A型B型】
今年2019年6月後半は涼しく、例年ならクーラーや扇風機をつける暑さなのに肌寒い。7月に入り雨の合間に晴れても、さらに涼しく長袖が必要なほど。7日はクマゼミの初鳴き。60年代から言われ続けてきた、間氷期が閉じる地球寒冷化を思わせる毎日です。実は2018年の8月も似た傾向でした。東京など関東や東北は38度などの記録的な猛暑続きで、報道は地球温暖化と二酸化炭素に明け暮れました。それなら南の鹿児島や宮崎はサハラ砂漠並み...
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わかる意味はごく普通の使い方で十分【作品に立派な思想などない】
本書は「芸術は難しい、現代美術はわからない、抽象絵画はちょっと」という国民感情は意外に深刻だとして、わからなくした犯人を指摘して回るヒント集です。今すぐわからせてやろうではなく、新しいヒントで自分なりに考えようとのススメです。ただし「わかるとは何か」には深入りしていません。「存在とは何か」みたいな哲学論にそれるからです。そこは、誰もが普段使っている言葉「僕はわかる」「理解しているつもり」の用法どお...
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水あびできる気温の範囲が狭すぎ【夏から秋へ季節の変わり目】
春や秋の季節の変わり目には、一日で気温が大きく変わります。昨日は10度で今日は20度などと上下し、全国ニュースになったりします。そんなある日、ラジオの女子アナがこう言ったことが。「今日の気温は昨日の2倍にもなりました」。10度が20度へ数字が倍になった機転の表現でしょうが、もちろん非科学的です。倍率を言うなら、絶対温度283.15度が293.15度に上がり、わずか1.035倍です。アメリカで使われる華氏の表記なら、50度が68...
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Tシャツの絵と字の伝達力【美術絵画が字ならよく伝わるのか】
デザイングッズ通販サイトに参加したことがあり、美術よりポップ寄りだからか、オリジナル図柄のTシャツ製品が今もたまに売れます。参加当初驚いたことがあり、著者は出していませんが、絵よりも字が売れていました。文字のTシャツは、イマジネーションが無限に広がりはせず、連想するものに幅がないでしょう。むしろ焦点が固定されています。著作権保護されるデザイン物と違い、盗作もされやすい。でも絵に負けないほど、字が売...
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太古のアートと知的生命体の関係【既成の概念を超える宇宙的意味】
本書では、芸術の成り立ちを宇宙の成り立ちと関連づけ、ルネッサンスや印象派ではなかなか体感しにくい芸術の不思議な核心を考察しています。芸術の不思議は、次のようにいくつもあります。太古のアート類は、きれいさが目的でないのはなぜか。近世に、なぜ関心がきれいさに著しく片寄ったのか。人はなぜ既成の概念を超えたがるのか。反対されるものをなぜ作るのか。作品が芸術創造に至る瞬間は、どの瞬間か。今の傑作と未来の傑作...
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