Categoryココが大事な焦点 1/3
理想的な好人物の男性を愛せない女性の謎【芸術作品とのアナロジー】
経済ブログで男女愛をテーマに書こうと思った理由は、「新自由主義」「グローバリズム」に染まった日本で、高齢者への愛が国民から消えた現象です。日本の若い男性が草食化したのは事実で、原因は通貨削減による所得減です。エサを減らした動物は繁殖力が下がる。男女愛の停滞のひとつは、男性から告白を受けた女性が、なぜか好きが進まない困惑の相談です。つき合い何カ月もたつのに愛するにはいたらず、関係はすでに進んでいるの...
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米政府とNASAの宇宙人騒ぎと落語の天狗裁き【結論ありきの思考停止】
落語の『天狗裁き』は、昼寝していた夫が夢などみていないのに、みたはずだと妻が夢の内容を問い詰める噺です。親友から大家さん、町奉行と、彼を問いつめる者がだんだん大物になってエスカレートし、しまいに天狗様の裁きを受けて殺されてしまいます。よく似ているのが、アメリカ政府とNASAとが、アメリカ国民にUFOに関して報告するあれ。政府は宇宙人との交流も通信もやっていなくて、めぼしい情報を持っていません。なのに国民...
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『暴動』スライ&ザ・ファミリー・ストーン【平和な表現の裂け目】
著者は全方位の音楽に手を伸ばしてきましたが、まだ一度も聴いていない著名なアルバムがスライ・アンド・ファミリー・ストーンの『暴動』(1971)でした。ソウル分野のファンク系の走りとされる傑作。色々な評論では「時代の緊迫感が焼け付くよう」的な論調が多い。少し前に当時のLP盤の収録分を聴いてみると、荒れた曲の合間にある温かくハートフルな部分が印象に残りました。ギラギラ、ギスギス刺激的な音に対比させた効果が秀逸...
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まずい食べ物はなぜまずいのか【味が薄い美術の宿命に内外差】
著者が大型コンピューターのプログラム作成会社へ通勤していた時に、仕事仲間から「あそこはまずい」と聞いたレストランがあり、それならと行ってみたことがありました。まずさの正体はすぐにわかりました。味が変なわけではなく、味が薄いのです。著者は、にんじん、ピーマン、グリーンピース、アスパラガス、ニラ、パセリ、セロリなどは全て好物ですが、カリフラワーが好きでなかったのです。後にカリフラワー、ブロッコリ、芽キ...
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絵が語るという言い方を時々気にする【美術鑑賞の不確定性原理】
「絵が語る」の言い方を耳にすると、とたんにわからなくなる方は多いでしょう。「絵が何かを語りかけてくるなら、ナレーションが聞こえてくるのかな」と。セリフかト書きか、言語の情報が伝わるのであろうと身構え、肩すかしを食らいやすい。この部分が壁となり、美術鑑賞は妨害されます。「言葉とは違う何か」を受け取る力が、現代人は落ちたことも推測できます。これは「人々の想像力が低下した」という、日頃耳にする現代人批判...
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アルゴリズムの語と芸術の創作手順【人工知能AIが作る絵画】
コンピューター時代に世に広まった単語に、デスクトップやアイコンがありました。アルゴリズムというプログラミング用語も、近年はよく見聞きします。意味は「計算手順」ですが、拡張されて動作の計画書も指します。たとえば1990年代のMacintosh漢字TalkやWindows 95のパソコンでは、時計や砂時計が延々と表示され待たされました。これは、子どもに買い物に行かせた時のトラブルが似ています。しょうゆを買ってくるおつかいで考え...
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テクニックがあれば表現したいことが可能になる【という最多の誤解】
ロックギターの演奏テクニックが高いほど、その音楽の芸術性が高いのかという議論があります。ここで前に書いたのは、往年のビッグスターが弾いてみせた動画が思ったほどテクがないから、がっかりした日本人が何人も「これなら自分の方がうまい」と投稿した件でした。「テクニックがあっても芸術性が高いとはいえない」の命題は、直ちに誤解される議論の代表です。大づかみに受け取れない人が多いし、極論だよそんなのと言う反発も...
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志村けんとチャイコフスキー【新時代に期待という時にまさかの急逝】
志村けんのザ・ドリフターズ時代は、歌謡界の尾崎紀世彦似のルックスで、荒井注が抜けたドリフメンバーとうまくつなげました。『8時だよ全員集合』を支えた後の躍進。初主演の映画撮影途中にコロナウイルスの症状が出て、3月29日に急逝しました。お笑いと芸術には深い関係があります。多くの歴史絵画には、ちょっとしたギャグが混入されています。一見シリアスだけれど、ガクッとくるお馬鹿を混ぜて、芸術の最大の特徴である表現の...
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日本の美術展に共通する空気【素人に絵の良し悪しは見破れない前提】
日本国内の美術イベントに共通する、独特の雰囲気があります。それは絵画展覧会やアートイベントの案内サイトや募集メールにも、常について回ります。その正体は「美術をわかる人は一握りのエリートである」という固い前提です。日本の美術展は、作品を観客に見せてもわからないであろう前提で計画されています。どれを市民に見せないかをまず選別して除去し、どれが価値かを先にレッテル貼りします。決めた価値を観客に伝えて、良...
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絵が上手でも世界の巨匠に遠い理由【ロックギターのカリスマの神演奏】
動画サイトにギター教室の先生の演奏がたくさん出ています。エレクトリックギターで、色々な技法のお手本を示しています。ハーモニックスとか、両手の指で同時にはじくとか、ものすごい速弾きや、細かいバッキングストロークも説明してみせます。何でこんなにうまいのかと意見が集まります。ここまで弾けたら夢のようだという声。世界一だという声。一方同じ動画サイトに、往年の英国ロックギタリストがデモ演奏する映像がありまし...
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古典美術の鑑賞は現代アートより難しい【昭和歌謡は懐古趣味か】
昭和の歌謡曲や懐メロを耳にすると、古い時代を感じます。懐かしい面もあるし、古くさいともいえます。この現象についても、わかっていても混乱が生じやすい部分があります。当時の人が古風な曲を愛していた印象を、何となく持つからです。実際には当時の人の耳には、新鮮で画期的で今ふうだったのです。言われてみれば誰もが納得します。昔の人はあえて古い感覚を好んだわけはないはず。後世のテクノ音楽とくらべて、昔ふうを故意...
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教育と洗脳の違いは何か【聖徳太子と縄文時代と国税財源論】
教育は洗脳と同じです。わずかな違いさえなく、完全に同じ。たとえばある世代以上の日本人は、聖徳太子という人物がいたと思っています。そう学校で教わったから。教科書で覚えたから。しかしこれとて、永遠の真理でもありません。今日では聖徳太子は、天武天皇が厩戸王(うまやとおう)を付加価値で超人化した、架空の人物とされます。物語化された賢人である蓋然性が高いらしく。こうして昔の常識が後で変わることは多く、世代で...
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感動は芸術性を保証しない【テロもオカルトも差別も感慨は濃い】
感動の大きさを本物に出会えた根拠としても、真理の証明にはならないものです。背中がゾワッと寒くなった自身の体験で、幽霊が確かにいると裏づける確信と似て、言った者勝ち程度の有効性でしょう。この類例は雨男や血液型性格占いなど、オカルト系が多いみたいな。日本で最近増えた無差別テロで、容疑者が語る決まり文句があります。「できるだけ多く殺したかった、誰でもよかった」。これ実は元祖がいて、信仰の対象になっていま...
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アナーキーとカオス時代のアート【ベルリンの壁崩壊と東西冷戦終結】
最近話題に多いメキシコからアメリカへの不法移民。もぐり込んでアメリカ国民に成りすます。それを防ごうと、トランプ大統領が国境に壁を設ける話。奇妙な流れに気づいた方も多いでしょう。それは不法移民に肩入れする論の不自然な多さです。不法なのに。移民ではなく不法移民です。不法。合法でなく違法。闇ブローカーなどが背後にある犯罪の話なのに、ニュース報道も含めてかばう論が多い。大麻解禁願望と異質な不法移民解禁願望...
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芸術や美術がわからない現象を再確認【大展覧会が犯人だった】
本書は「美術がわからない人に美術を教える本」ではありません。そうではなく「美術なんてわからないやと思ってきた人が、なぜそうなったのかを今からでもチェックできるガイド本」です。「これが原因だったのか」「それなら今すぐわかるぞ」と。「自分は美術やら芸術やらが難しくてわからない」と思っている人に、「それはたぶん、ここに引っかかるせいではないか」とヒントを出します。本当は大勢がわかっているのに、わかってい...
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美術家と鑑賞者が常に衝突する抽象表現【わかるの意味はそれかよ】
ネットによく出てくる美術ニュースは、内外の絵画に起きた事件です。絵が白昼堂々と盗まれたとか、オークションの高値記録だとか、名画の由来が解き明かされたおもしろネタなど。そんなニュースのコメント欄に意見が集まると、次のような対立がよく起きます。「現代アートがわからない日本人は多いね」「わかるように作らないから当然でしょう」。これがよくある、わかるわからない論争です。ところが多くの場合、わからないアート...
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ゴッホの兄弟愛は絵の理解に必要な知識か【美術鑑賞法がおかしい】
「知識は力である」という格言をみかけます。「時代に何が起きているかを知っていれば事件を防げた」「知らなかったから後の祭になった」「無知で国がさびれた」「戦争になった」の結果論も歴史に多いし。必ず儲かる話は必ず詐欺だと知っていれば入らなかったが、知らないから入って財産を失ったケースもあるでしょう。連続殺人犯が拘置所で本をたくさん読み、「僕に知識があれば殺人していない」と過去を嘆き、犯行時には無知だっ...
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表現に矛盾がある絵は芸術的に大成功?【矛盾の語は誤用だらけ】
矛盾の語の意味を考えます。何でも貫く鋭いヤリと、何物にも貫かれない丈夫なタテを、同じ商人が売ると、説明が同時に成り立たない不合理です。好例は「丸つぶ模様が一個もない曜変天目茶碗」でした。丸つぶを天目と呼ぶから。「丸い四角」や「黒い白馬」と同じ。矛盾の語の使い方で、よくある間違いはこうです。「あなたは前に日本はもうだめだと言った、今は日本は伸びると言っている、矛盾するではないか」と。これは一人が警告...
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日本美術のグローバリズムとナショナリズム【浮世絵文化を守ろう】
世界の重要トピックは、イギリスのEU脱退やアメリカファーストなどナショナリズムです。テーマは、グローバル主義経済の曲がり角です。しかし現代世界史が苦手な日本のエリートたちは、人種問題や民主主義が軸線だと信じています。本当の軸線はマネー奪還の階級闘争です。グローバル主義は、国境をなくし物、金、人の移動を好きにさせる思想です。世界混乱で所得が伸びる立場が推進します。迎え撃つナショナリズムは、フランス革命...
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絵を好きに描けば芸術の創造になるのか【絶対に周囲に似るわい】
「気の向くまま、好きなように、力まず絵をかいています」と一言添える画家が日本に多くみられます。作為的でない、等身大の自分を表現したとのアピールでしょう。これは一面、自然体を尊ぶ日本の伝統かも知れません。禅の無為自然とも関係するかも知れず。「印象派その後」のゴッホ時代に、人々が感動した絵は印象派ではありません。それより前の写実具象の焼き直しが好まれました。人々の愛好対象は常に前時代的です。印象派をリ...
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