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Categoryわかる手がかり 1/2

芸術のエントロピー増大と減少【加減して作品充実度が変えられる】

著者が相当昔に考えた「芸術とエントロピー増大の関係」を、最近また考えることがあります。抽象作品の充実度を左右する大きい要素だからです。エントロピーは熱力学の専門用語で、全く畑の違う社会学の分析にもよく出てきて、応用がきく概念です。たとえば家の敷地で造園が完成した時は、樹木や花がきれいに並んで、この状態のエントロピーは小さい。手入れしないで何年も放置すると、全体が雑草に埋もれて古墳みたいな緑のかたま...

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自分に似た人が世界に3人いる?【違いを見分ける目が育つ不思議】

世界には自分と見かけがそっくりの人があと2人いて、計3人がほとんど同一人物に見えるという説があります。これを聞いた方は、疑問に思われるかも知れません。なぜ20人や1700人ではなく、わずか3人なのか。それは一人一人の顔が非常に異なっているからでしょう。スポーツ選手なども集まってみると、ウリ二つの人はほとんどいなくて、互いにかなり違う顔です。一人を見ていると納得がいっても、別の人を見るとものすごく違います。...

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読書と美術鑑賞は繰り返せば理解が早い【ヒトの脳のはたらき】

小説などは別にして、学術系や知識系の読書は、論理矛盾をかかえています。知識不足だから、知識を得るために本を読むわけで、知識不足で意味を読み取れない悪循環が起きます。そこで同じ本を何度も読み返したり、回数を増やしたり類似書籍を多く読んで理解します。この時、脳は想像力を発揮します。たとえ話から類推したり、話が飛んだ部分を連想で埋めたり、三段論法で答を出したりもできます。哺乳類でも一部にしかできない創造...

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パソコントラブル相談投稿で初心者を叱る無意味【わからない立場】

パソコンが動かないとか動作がおかしい相談は、ネット掲示板の定番です。が、気になる意見が常にあります。質問の情報不足への苦情です。「部品の型番や、OSや各種ソフトのバージョンを書け」と叱りつける書き込みです。そもそも、そうした細かい情報を書かないのがビギナーの証明であり、部品やソフトの正体を知っている人なら自力で解決できています。情報不足こそが重大なヒントであり、ベテラン回答者は情報不足であっても「こ...

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高校の自主音楽鑑賞会は盛り上がらず【家に置きたい美術はどれ】

高校の時に、隣のクラスと合同の自由研究授業で、視聴覚室でレコード鑑賞会を行ったことがありました。何人かが音源を持ち込んできた曲が流れます。それらはヒットチャートにも出てくる、ベストセラーやロングセラーの有名曲でした。しかし場は盛り上がらず、皆は仲間とだべっていました。著者も、こんなにつまらないものなのかと驚いたほどです。強制的な授業ではなく、たとえ自主的に音楽鑑賞会を開いても、盛り上がらない事実を...

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米軍が発表したUFOの謎から出発した芸術論【宇宙は大きいか小さいか】

最近、アメリカ議会からの質問に対して、米軍がUFOに関する報告を行いました。その正体は当然ながら、軍事大国が開発中の秘密兵器として扱っています。しかし日本人は軍や戦闘にまず関心がないこともあり、宇宙人の話だと受け取ります。関心がすれ違っています。宇宙人はきっといるという主張の決まり文句が、「宇宙はこんなに大きいから」というもの。「これほど広い宇宙に、僕らが知らない生物がいてもおかしくない、生物はざら...

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殺人の動機解明と絵画制作のモチーフ|和歌山カレー事件の推理劇

動画サイトに重大犯罪の解説が多くあります。視聴者コメントで多いのが「犯行の動機が不明なら無罪なはずだ」という見込み方です。これは無茶で、人間の行動の動機は確証がつかめないものなのです。人の行動理由は本人にさえ、とてもあいまいです。自分にとっても不明。「ヒ素で連続保険金詐欺を犯した打算的な者が、果たしてお金にならない無益なヒ素殺人を起こすだろうか」の意見は、あの和歌山カレー事件でよく言われます。この...

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芸術の特徴は表現の裂け目とは難しい話か【おいしい生活のキャッチコピー】

バブル時代は悪い時代だったと若者は思っていますが、実は異なります。バブル時代は国民がたくさん体験し、たくさん学べた時代でした。若者の大半が車を持ち、異性交遊が盛んなイメージに隠れがちですが、物知りになれた時代でした。海外と国内旅行とも流行ったし。バブル時代の前夜に起きたのは、国鉄民営化や電電公社民営化でした。これは新自由主義経済の民営化思想であり、競争原理を導入して価格破壊でデフレに向かわせる政策...

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昔の人は芸術作品を理解していた?【ゴッホを難しく感じたのは誰か】

よくある言い方。「僕は凡人だから難しい芸術はわかりません」。この言い方の裏には、普通でない超越した世界が芸術だという見立てがあります。そんな面もあるのですが、作品の超越にはじき飛ばされたと自分で感じた人はまれです。例によってゴッホ絵画で考えると、周囲も画壇も画商も「わけがわかんない」「ぶっ飛んでる」「僕はついて行けねえ」の反応ではなかったのです。「ゴッホとかいうやつの絵はどれだって」「あ、それがそ...

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美術作品の全てに共通するコンセプト【バラ、美女、ゲルニカ】

「この作品は何を伝えたいのか」と疑問を感じる絵や彫刻は多いもの。作品ごとに形も色も違い、造形や方向性もまちまちで、鑑賞に行き詰まる方も多いでしょう。実は理解の突破口があり、全ての作品に共通するコンセプトがあります。どの作品も同じことを言っています。それは「平和」です。作品が伝える決まった概念は、平和と繁栄です。わからない作品に出会えば、「これの意味は、平和を大切にということだな」と思えば、必ず当た...

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外国の人が納豆が苦手なのは具象の壁?【まるであれみたい】

小学生の頃に納豆を食べながら、不思議な思いがわきました。「自分はなぜこれを食べるのか」。いつから平気なのか区切りがないほど、自然になじんでいたから。「わー何これ?」の体験が一度もないまま。まず、納豆の香りから何かを連想する、その反応が自分に起きない不思議です。外国人に限らず日本人でも、大人になって初めて接した納豆の香りを何かにたとえますよね。「まるであれみたい」と。派手な特徴に注意が集中して、似た...

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リサイクルショップで非芸術を見極める?【表現に裂け目なし】

少し前に全国チェーンのリサイクルショップに寄ると、美術品や工芸品がいくつも目に入りました。色ガラス細工や木片を敷き詰めた絵画や、キラキラ輝くレリーフっぽい工芸、また熊の一刀彫りやこけしなど民芸品もありました。いずれも安価です。それらを持ち主がリサイクルショップに売った理由は、芸術性が低くてさしたる値打ちもないと思ったからでしょう。芸術性の有無は難しい話だと思っている人も、それらの作品類が美術館入り...

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かつお節とドラ焼きと海苔を嫌う外国人【本物は生の個性が鼻につく】

美術の本物や偽物を言うには、真物か贋作か以外に、芸術的に本物か、芸術ふうニセモノかという論点もあります。創造か非創造か。本書でも何度か出てきますが、芸術上の本物は完ぺきとは感じさせず、むしろ欠点が目立つものです。たとえるなら、鰹節。かつおぶしは日本のスーパーでは、重さの割に価格が高い商品です。だいたいが乾物は意外に高額で、浅草のりなども量の割に高くて、実質はぜいたく品です。本物のかつおぶしは石のよ...

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鑑賞する時に作品のどこに最初に注目すべきか【美術からまず離れよ】

どこかと問われるなら、作品ですと答えます。作品のどこなのかに対して変な答ですが、要は作品以外に注目しての鑑賞は失敗になるという、最大の注意点です。たとえば作品近くに金賞ラベルがあると、自由に見ることは人間には不可能です。人は情報にいちいち左右されるから。ならば金賞ラベルはじゃまだからなくせという意見は、音楽や映画ではよくあります。優れた作品かどうかは視聴者の僕らが決めるから、称賛を並べて飾ってある...

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身近なアートを見て回れば美術は身近な存在に【地元の新人を見よう】

ダリほどの超大物でも、盛大な展覧会で大勢があれれっと拍子抜けすることもある美術の不思議。美術館の不思議。企画の不思議。これは美術のよくある現象です。では、世に知られない作品だとどうなるか。そのおもしろさに気づいた人がいました。ある高齢者から、現代美術展示巡りの趣味を聞きました。街中で小さな現代美術展を見かけると、必ず入ってみるという。わからないからおもしろい、どういうつもりで作ったかを考えるのが楽...

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絵を二度見るとおもしろい体験になる【最初の鑑賞の印象と全く違う】

昔見た絵を時間をおいてまた見ると、案外おもしろいのです。絵の事情から、自分の事情がつくられるから。自分の物語ができます。過去に見た絵の元へもう一度駆けつけると、きっと何かがわかるはず。映画で経験はありませんか。映画館で観たずっと後でテレビ放映で改めて見て、印象が違うことが。縦横比の違いで画面の左右は切れますが、たとえば色なども。あるシーンで赤い服だった記憶が、後で見ると黄色だったりなど。こんな映画...

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ゴッホとピカソの話題が多い芸術的な理由【わからん理解不能が集中】

本書に、ゴッホとピカソの話題が多くあります。近代画家である二人の出番が多い割に、最近の現代画家の話が少なめである理由は、二人の知名度です。ネットで「わからない」「価値が理解できない」の意見は、この二人に集中しているのです。第三位以下を引き離して。二人の作風は独立峰で、典型的な創造作品として芸術の説明にのせやすい点もあります。二人の画期的な作品は、当時はサイテー評価でした。美術誌が推薦したり、日刊新...

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廃墟の美は失楽園への郷愁だけで済むか【長崎軍艦島の偶然的リアル】

長崎県の『軍艦島』も世界遺産となりました。今は廃墟の顔役ですが、稼働時はモダンで暮らし向きのよいコンパクト都市でした。新しい廃墟ブームは、70年代末のポストモダンで始まった記憶があります。荒れて朽ちゆく身近な廃屋から、解体中のビルへと関心が広がり、ゴーストタウンを探検する楽しみも加わりました。廃墟の美は過去にもよく論じられました。「バラの花」や「裸婦」などのアカデミックな美ではなく、アヴァンギャルド...

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本当の本当は、誰もが最初からわかる抽象造形【ならば具象は何なの】

日本に伝統的な絵画の型が色々とあります。「梅にウグイス」「竹林」「鯉の滝のぼり」など。日本画の団体展でも見かけて、カタログショッピングにもそうした伝統スタイルの絵画や版画が用意され、外国向けのみやげ品にもなって人気です。そんな定番のひとつに「富士山」があります。「赤富士」「雪の富士」「夏富士と鶴」をはじめ、膨大なパターンが普及していて。江戸や明治の浮世絵にも登場し、古典的な題材としても定着済みです...

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抽象画がわかる人は何を考えている【具象だけがわかる脳の動作制限】

「具象画のみわかる」という人はいても、「抽象画のみわかる」という人はいませんよね。抽象画がわかれば、具象画もわかるから。抽は具をカバーし、具は抽を必ずしもカバーしない。つまり抽象画がわかれば、全ての絵がわかり、芸術の全体像が読める。これがどういう話になるかといえば、具象のみわかる状態は、脳の一部が機能停止している疑いです。こんな話は、美術界で誰もやりません。脳科学界なら平気でも、美術界では苦手な話...

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