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「日本の不況は、みんなが節約するせいで続いています」と言ったとします。たぶんかなりの国民は半信半疑でしょう。その突飛な説を信じてよいのか、ウソなのかと。言った人が無名ならまず信じないはず。

というのは、常識的な国民には次の感覚があるからです。出費を節約すればお金が減るのを防げる。減らなければたまるので、日本国内にお金が増える。だから節約を長年続けると、日本は裕福になるのだと。

逆にお金を無駄に使ってしまうと、減っていくから貧しくなる。みんな同時に使えば、みんな同時に貧しくなる。そこでみんなで力を合わせて無駄な出費をなくせば、国内の貧困を食い止められ、世界第二位の経済大国へ返り咲けると。節約すれば国が富むと。

この感覚を心得た人に対して、その理屈は完全に間違っていると忠告したとします。「節約すれば国は傾く」と言ったとします。多くは、何の話なのか理解できないでしょう。入口でいきなり壁です。

入口の壁はアートにも存在します。抽象美術がわからない人に、ピカソはこういうふうな話をしています。鳥のさえずりを聞いた人は、意味を理解できなくて悩んだりはしない。同様に鳥の声を聞くように絵画を見れば、何も難しくはない。

しかし声を聞くように絵を見るとは、いったい何の話なのか。そんな曲芸まがいが可能なのか、音が鳴る絵画とはスピーカーを仕込んだアートの話題かと疑問が生じ、結局絵の見方に変化は起きていません。ピカソの助言では人々は開眼せず。このように、正解より誤解の方がよく通る構造は至るところにあります。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?