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Category美術ワンポイント知識 1/2

日本美術界の雰囲気のがっかり感【正体は表現の不自由展か】

過去に登録していた美術系のサイトやショップなどから、今もメールが届きます。企画展示やテーマ制作への誘いが多いのですが、その案内書には日本ならではの独特の雰囲気がただよいます。またそっちかという気分です。どれもこれも上意下達を大前提としたイベントだからです。アジア的といえるかも知れませんが、審査員がいて、作品を採点して、上位に賞金が与えられたり、入選で展示会に進めて、受賞すればリボンがつくなど、市民...

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ストラヴィンスキー『春の祭典』とピカソ絵画は近い【バレエ音楽】

オーケストラ部員の人と、ピカソを話題にしたことがありました。図書館で借りていたピカソの大画集を、その人が数日だけ貸して欲しいということで。民間アパートの隣同士だったから、紛失の心配もなく。学生身分には、自由以外に読書機会があります。「ピカソの絵はストラヴィンスキーの曲に似ている」と言うと、相手は「確かに」と納得しました。その時想定した曲は『火の鳥』などではなく、もちろん『春の祭典』でした。『春の祭...

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ヒンデミット『画家マティス』【パリ・シュールレアリスムのお手本】

ドイツの作曲家ヒンデミット(1895~1963)は、1956年に来日してウィーン・フィルを振りました。彼の交響曲とオペラに『画家マティス』があります。ピカソにダメ出ししたフォーヴィズムの画家、アンリ・マティス(1869~1954)が浮かびます。そのマティスではなく、近世ドイツのグリューネヴァルトです。マティス・ゴートハルト・ナイトハルト(1470~1528)という、表記が何とおりかある画家で、間違った名が有名になったことで有...

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おふくろさん騒動の森進一と川内康範【作詞作曲の著作権を軽視】

著者はかつて、音楽の著作権を全く勘違いしました。歌手がお金を放送局に払い、レコードを置かせてもらっていると思ったのです。小学生の時、リクエスト番組で耳にした言い方。「番組で知った曲をレコード店で探して買いました」でそう思ったのです。国民はラジオで聴いて曲の存在を知るのだから、放送局が宣伝してくれたその謝礼を、歌手が払うと思ったわけです。「放送局様、曲を流してくれてありがとう」と。実際は逆で「歌手様...

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美術という美しい言葉自体が大間違い【目の保養に限られる失敗】

美術館などに税金を使う意味はあるのかと、文化行政コストの無駄がしばしば言われます。芸術やら美術は、そもそも人間に必要なのか。特に今のようなデフレ不況の時代には賛否が分かれるでしょう。「僕らの収入から税金をまきあげた、不要な箱モノ行政なんかやめろ」「天下り目的だろ」の怒りもみられ。先にやるべきは、保育所の建設や貧しい児童への学資援助だと。それに対して「美しいものを見ることも大事な情操教育です」と、教...

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ポピュリズム美術は人気作か【ルノワールかマイヨールかモナリザか】

近年ニュース報道で、ポピュリズムの語をよく聞きます。あの大統領はポピュリズムだ、あの首相が、あの党首が、委員長がと。政治の現場に大衆ウケする人気リーダーが登場した時、よく言われます。ところが、支持者の多さは民意の反映です。民主主義では数の力を正義とします。支持者数が多いほど、良好だとしてOKをつける主義。だからポピュリズム批判は民主主義の否定だと、常に裏で言われます。同様に、日本で一番人気のルノワー...

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ゴッホを買わない19世紀人は何を買った?【普通の流行画家の絵画】

133年前のゴッホは引きこもらずに、作品をがんがん市場に出しました。公募コンテスト展やアンダパンダン展で、存在は知られていた説もあり。例のあいつを今度も笑おうと、市民に変な話題性ができて。ゴッホの生前に絵を買った人は、知人であった詩人の姉だけでした。縁故であれ売れたゴッホの成績は、作品を市場に出さずにいた著者よりは高い。しかし二作目が出ず、奇行に走り早死にすることに。そこで気になる謎があります。当時...

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本物の芸術作品が気持ち悪いのはなぜか【不穏な暗い怨念グロの闇】

芸術作品の特徴に、気持ち悪さがあります。違和感があり、かすかに不快で、少し気味が悪い。強い不快ではなく、軽い不快。現代人が本物の芸術にイマイチなじめない大きい理由は、作品の独特の感じ悪さです。贈り物には使いにくいでしょう。「芸術は気持ちがよくて快適感があり、心すっきり気分ウキウキ、明るく陽気で、よどみなくハッピー」と期待した人は、本物の芸術に接してガクンとマイナス方向にショックを受けます。こんなの...

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画家や彫刻家は一夜でシンデレラになれるか【音楽家に見習おう】

外国の美術展に参加するアーティストに、大事な注意事項があります。美術にシンデレラ現象はないというのも、そのひとつです。一晩で出世はできません。シンデレラ現象は、他のジャンルでは実際に起きています。ジャズ音楽ではキャノンボール・アダレイ、ロックではオールマン・ブラザーズ・バンドやサンタナ。ミュージカルでも、一夜でスターというアメリカンドリームがたまにありました。しかし絵画や彫刻では起きません。世間の...

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絵画は実験とはどういう意味か【芸術が過去にない創造だから】

「絵画の実験と言うが、実験ではなく本番を見せて欲しい」という意見があります。言葉尻をとらえた中二病的な言い方にも聞こえてしまい、どこまで本気なのかはわからず。実験アートという言葉。これは既成の概念から外れた、突飛な作品を連想させます。たとえばお客が美術館の展示室に入ってみると、清掃員がまだ掃除中だった。あれっと思って外に出ようとしたら、そこでの一部始終が実はアートなのだという。清掃員を見ると、現職...

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ヨーロッパとアメリカのアートの違いは何か【重厚対無機無味ドライ】

欧米のアートと言えば、イメージは何となく決まります。しかし実は、欧と米に大きい違いがあります。アメリカの現代アートは概してポップで、俗悪な目立ち方の突出が現代らしさを誇っています。アメリカの近代美術史は、具象に執着し続けた日本と似た事情でした。アメリカ移民の保守的な面に起因するものです。アメリカ人は破天荒なリベラルに思えますが、内部ではヨーロッパのコピーにとどまったのが近代まで。マルセル・デュシャ...

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芸術論はイデオロギーなのか【難しく大仰に考えすぎて脱線している】

大学生は思弁的、観念的な語に接する機会が増えます。新たに耳にした知的な言葉を、現実社会に当てはめたくなるものです。今ふうに言えば大二病みたいな感じで、人生のワンステップなのでしょう。大学でちょっと耳にした話で思い出したのは、芸術とは何なのかの論争を、イデオロギーの闘いだと解釈してしゃべる者がいたことです。そうならば、「絵画芸術の本質はデッサンの腕である」という考えは、果たしてイデオロギーなのか。イ...

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ゴッホの美しい絵を理解しなかった昔の人を恨む?【19世紀の写実画】

「あれほど美しい絵をかくゴッホを認めなかった、当時の人たちを恨みます」。ゴッホ展へ行った人に多い、感動の第一声。同じ思いになった人は、昔から非常に多かったのです。演劇のテーマにあったほど。これほど優れた絵を、なぜ誰もが無視したのか?という憤りです。2枚の写真は、1887年に描かれた絵です。両方とも同じ年の作品。上がムーア作、下がゴッホ作。仮に2枚とも同じ公募展に並べば、どちらに金賞を授与しますか。どち...

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世界で一番理解されない現代アートはこれだ【ピカソよりデュシャン】

日本に限らず、最も誤解されている現代アートは『泉』でしょう。便器です。「現代美術を理解するサイト」の題材として出てくる便器アートです。「アートは何でもありだと認めようではないか」「時代について来なさい」と、説得する切り札によくなるのが便器作品です。一般に流布する創造物語は「あるアーティストが美術の既成の概念を超えようとして、市販の便器を彫刻作品に仕立てた」です。これはつくり話で、動機はいやがらせで...

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公募展の大賞受賞作品が外国で売れない【展覧会の方式が内外で違う】

欧米の大規模美術展覧会のほとんどは、アートフェアです。美術を売買する見本市やバザー。対して日本で圧倒的に多いのは、公募コンテスト展です。フランス語でコンクール。予選通過を入選として展示し、そこから入賞や特賞を出す合格発表の場。落選作はすぐ返品して。内容はアートフェアの方が充実しています。その理由は、出品する作者たちの対戦相手が違うからです。何と戦うかの規模に、実は大きい差があります。戦いの規模に。...

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シュールレアリスムは現代美術のアイデアの宝庫【ブラックボックス展も】

「キャンバス画はもう古いから排除して、これからの時代はガラクタを積み上げよう」と叫んで、インスターレーションが日本のギャラリーを席巻したのは1980年代でした。好景気へと少しずつ向かうあの頃。日本中が明るくて夢があった時代。今とは違う雰囲気。ビギナーたちは粗大ゴミに斬新を感じ、美術の最終形キターと大感激。現代の創造が、従来の小難しい美術を駆逐したぞと。まさかすたれるとは思わず。潮目が変わったのは、阪神...

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電子書籍は読み放題の定額サービスが割安【Amazonなら他の本も豊富】

電子書籍はクラウド方式でサーバー配信する電子データで、体積や重量はありません。家に置き場所が不要で、引っ越し荷物にならない利点。しかも本を一冊単位で買う以外に、定額で読み放題のサービスも用意されています。昔の貸本屋よりもずっと豊富な品ぞろえで。紙製本の時代よりはるかに安い金額を払えば、PCやスマートフォンで百万冊を片っ端に読めるから、巨大な図書館の会員みたいな感じ。立ち読みもできて、少し読んで難しか...

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絵になった絵は非創造的と理屈でわかる【でも創造作品の違和感がね】

頭でわかっても、ついて行けない現実。「絵になっているね」と好感を持つ絵は、記憶にある絵です。脳内のパターン認識と一致するからピンとくる。既視感が縁故となり作品に親しみが起きるのが、既成の概念の本来の意味です。脳は元来はオリジナルが嫌いです。絵になっているとの感慨は後向きで、創造性とは逆方向です。古い部分がウケて、新規の部分がウケない脳の宿命というか。音楽コンサートでニューアルバムの曲を演奏しても盛...

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芸術論に客観性や主観性はあるのか【日本人は客観を信じ主観が嫌い】

ネットに限らず、主観を悪とする言い方を目にしませんか。たとえば、「それは単に君の主観にすぎない」「その意見は主観的すぎて許されない」という言い方。他者の主張を退ける時に、内容が主観的だとして失格にする。日本に特有の感覚で、いわゆる事大主義と表裏一体。主観と客観に触れた章が本書にあります。芸術の価値で最大のツボは、価値が固定しない点だから。「客観的にみて正しい」は論理学的に不正です。「主観的な考え」...

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売り絵と呼ぶおもしろい世界【個性と刺激を薄め目立たせない美術品】

美術ギャラリーの展示の合間や空きスペースで、キャンバス画の小品を在庫販売していることがあります。そこで見た同じ絵が、よそのギャラリーにも置いてあることがあります。同じ絵があちこちにある。画家が同じ絵を2枚以上まとめてかいて、複数のギャラリーで委託販売しています。これがいわゆる「売り絵」です。『ヨットが浮かぶ海』や『草原の小屋と大木』など、日本人好みの風景画が多いようです。手作業なので、同じ絵でも少...

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