日本の浮世絵は欧米で理解されているのか
2017-01-11 Wed 02:07
日本が誇る浮世絵の話題には虚実も多く、ヨーロッパ印象派の画家たちが浮世絵に影響を受けたという話は、ほぼウソといえます。印象派たちが愛好したのは、浮世絵に描かれていたエキゾティシズム、すなわち異国情緒あふれる物品でした。モチーフとも言います。

具体的には扇子や急須、湯のみ茶碗、すだれなどのアイテム。女人画では、まげとかんざし、和服姿、はきものなど。彼らにおおっと思わせたのは、画風ではなく畳や下駄でした。それを印象派の絵画内に描いただけです。浮世絵の技法的な面は無視されています。

完全無視の例がゴッホで、彼はおいらんの絵を浮世絵の技法ではなく、印象派の点描画タッチで描いています。日本に点描画の浮世絵はなく、面相筆で線を引いた水彩日本画か、量産向けの木版画です。

ゴッホの『おいらん』は、ギトギトのオイリーでケバケバのメタル調、浮世絵の影響なしどころか正反対です。「浮世絵は印象派に影響を与えた」の内訳は、料理でいえばそばを煮込んだクリームシチューです。トッピングの採用にすぎず、そばらしい風味は現地で引用されずじまい。かけそばも、つけそばも、学んだ形跡なし。

印象派のアイデアは19世紀科学の応用で、日光の白色が虹色に分かれるプリズムの発見とされます。キャンバスに物の色を直接塗らずに、原色の点々を敷き詰めてやれば、離れて見ると写実的に見えるデジタル画のはしりといえます。ルノワールも離れるとなめらかに見えるタイプ。日本の浮世絵は、プリズムや虹色のデジタルと関係ありません。

それなら浮世絵の価値はどこへ消えたのかといえば、今もヨーロッパにとって理解の壁になっているとわかります。面を塗らず線主体で表現する絵は、欧米の人には難しいようです。書道の伝統がある日本では線の使い方が飛躍していて、水墨画がひとつの成果になっています。
関連記事
スポンサーサイト
別窓 | 日本のここがクール | トラックバック:0 |
この記事のトラックバック
トラックバックURL