-
反語は結局ここに話が落ちてきます。太古の美術品と現代の美術作品をくらべると、太古の方が太くたくましい「ザ・造形」ぶりが著しいものです。傾向というより、ことごとく当てはまる法則です。対して現代アートは線が細く味が薄く、しかも要点が反語や裏話に移っています。

テレビ番組にでもたとえると、20分で言える情報で90分持たせたような、上げ底的な印象が現代美術に多いのです。たとえば、同じ品物を百個以上羅列した大規模作品とか、ひねった説明とセットにした訳あり作品とか。造形を放棄したトンチ型アートが現代に多い特徴です。

テレビ番組で起きているのと似た幻滅が、現代アートでも広がっています。「手抜きで内容がないのに主張のフリだけ大げさ」と。「何でもいいよ」のリベラルな空気に便乗したような、逃げながら吠えているような作品に、国民は首を縦に振れずにいるわけです。

ところが・・・現代アートのその欠点を、論者たちはうまく語れずにいます。たとえば日本では、ルノワールなどきれいな具象画を愛し、現代美術はその逆だから嫌う人が多いのです。古典が好きで現代が嫌いな、一番多くみるパターンです。この話と混線しやすいからです。その話ではないのに、その話に丸まって行ってしまうのです。

現代美術の担い手側は、「美術ファンは保守的なのさ」式の弁解をやりがちです。反語的なハッタリ偏重は棚に上げて。この展開を別の社会問題にたとえてみるなら、「移民が増えると問題はないのか?」の疑問に対し、「人種差別はやめましょう」で煙幕を張るようなものです。対話を成り立たせない持ち込み方。

本書では芸術の原点と核心を、太古の造形物に置いています。人類の最初のデビュー時からあったものが、人類のやりたい本意だという、素直な発想でスタートしています。今の人の限界や今の流行に引っ張られないように、ここだけは真っ直ぐに考えます。古典でも現代でもない、人類の主軸が別にあるのです。
関連記事
スポンサーサイト
現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?