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美術に限らず、小説や映画にも反語表現はひんぱんに出てきます。気づかずにいたり、逆の意味に受け取ったままだったりもあるはず。作者の実力を測り損ねたりもあるでしょう。同じ映画の評価が日本人と外国人で違いすぎたら、反語の解釈で分かれた場合もありそうな。

そんな反語表現は、一般には難解といえます。だからここでやっている反語解説も、はっきり言って難解です。反語の正体を一口で言うなら、「空気を裏読みする」になるのでしょうが、空気を読みながら裏も読むのだから難解です。芸術が難しいのは錯覚ではありません。

ところで、反語的な言い方が多用された地で京都を浮かべます。ネットでも見かける「ぶぶ漬けはどうどす?」という言い方です。「お茶漬けを食べませんか?」という質問文になります。京都のお宅を訪問した人が昔よく言われた日常用法らしく、正しい返し方は「そろそろおいとましましょう」あたりだそうです。

つくり話ではなく昔は広く使われたらしく、落語ネタとして整理されたようです。よその地の耳には「なかなかうまい言い方」よりは、「何か意地悪っぽい言い方」と感じるようです。「僕は長居しすぎている」と自覚していない早めのタイミングで言われたら、無理やり追い出されるような印象があるからでしょう。

しかし客人を帰らせる調子ではなく、現代で言うなら家の人が「ああ、今日はとても楽しかったですね」とその直前まで続いていた話の腰を折らずに、やんわり客人に同調を求めるお開き提案の機微だったと考えられます。本当は、もう少し違う言い方だったのかも。

この言い方は過去のものとなり、現代では意地悪な物言いに受け取られています。今の時代は、活字ぴったりの直接表現が好まれ、反語的な曲折は通用しにくいのは確かです。反語を多用するアーティストが浮きやすい、表現への柔軟性が乏しい時代へ向かっている疑いもあります。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?