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前回の百円とポップアートの話。何のこっちゃと首をかしげ、一晩考えた方もいるかも知れません。日本人の大半は、ポップアートをコンセプチュアルアートだとは思わず、庶民レベルに落とした、くだけた調子の具象美術だと思って鑑賞しています。そう誘導されることも多く。

「モンローって美人」「画家は漫画もうまいんだ」「ビール缶がスタイリッシュ」「落ち葉は心なごむ」。全然そんな話じゃありませんから。モンローも漫画も他人作品のパクリです。おバカもここに極まれりを、笑うアートでした。あれは美術館の品位に乗じたギャグだと、昔の作者インタビューにありました。Cが手にした百円硬貨と似た効果です。

日本だけで誤解釈されているポップアートではないのですが、概して日本人はコンセプチュアルアートが苦手です。真面目に真っ直ぐに考えてしまいます。日本人は、真面目な場で真面目に過ごすのは得意です。ふざけた場でふざけて過ごすのも得意です。

ところが、真面目な場におふざけを混ぜるのが大の苦手です。政治の場でジョークを言うのも笑うのも、全く呼吸が合いませんよね。欧米と違ってこじれますね。糾弾と謝罪ばかり。切り替えが苦手というより、場に合わないものをはめこんだり受け取るセンスが不足です。空気に合わせるのは得意で、背くのは不得意。

関係のない物を置いて、関係がないアホらしさを楽しむのが苦手です。そしてどうするかといえば、真面目に具象的に読み取るわけです。形状の美しさを僕らに訴えているのだなと、古典的に解釈して。便器の出品も日本ではその受け取り方ですね。まさかギャグとは思わず。

コンセプチュアルアートは美の追究ではありません。意味のない百円玉を手渡すのと同じで、人の心理の混乱を遊ぶ目的です。無意味さで裂け目を生じさせる意図です。美術は自由だという思想と、高尚だという認識を、うまく逆手に取ったレジャーへ拡張されています。便器の彫刻的な美しさを語り出す生真面目な説明に、くれぐれもご注意を。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?