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芸術の定義をめぐる内戦が、美術を無駄に難解にしてきた日本の事情。しかし現代美術の謎の数々は、そんな事情以外にたくさん存在します。芸術の内情は実に色々とあって、実におもしろいのです。

日本に限らず世界的に、ポップアートはたいへんに誤解されている形式です。マリリン・モンローの顔とか、マンガを拡大した絵とか、スープやビールの缶、落ち葉もそうです。しかし実は、これらのポップアートを理解した人は世界的にも少ないのです。内戦の日本だけでなく。

全く話を変えましょう。ある大学生Aからこういう報告がありました。学内でクラスメートBがクラスメートCを、いきなり呼び止めたというのです。BはCの手を取って、てのひらに百円玉を押し付け、指を曲げて握らせました。そして、Bはツカツカと歩き去ったのです。

残されたCは百円玉を手にして、Bにお金を貸した過去を思い出そうしたり、今自分が落とした硬貨かなと足元を見回しました。身に覚えのない百円だけど、何かがきっとあったはずだと。Cはそれからというもの首をかしげながら、寝ている以外はずっと考え続けたというのです。

翌日CはBに会いました。そして、昨日僕に渡した百円は何だったのかをたずねました。Bはこう答えました。「なっ、気になるだろ?」。単に百円玉を握らせた、脈絡のない行動だったのです。前後の何の出来事とも関係なく、何の意味もなかったわけです。

百円玉をクラスメートの手に握らせずに、国立美術館のガラスケースに常設展示したらどうなるか。来館者はBと同様に「何かがきっとあったはずだ」と考え込みます。ありふれた品物ほど、よけいに深読みして。これがポップアートのコンセプトです。ポピュラーとは大衆にもわかる意味ではありません。大衆扇動の意味です。色々あるのです。

ポップアートの秘密
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?