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プロなら誰でも、素人に言われたくないことがあります。サッカーだと「あれなら僕が蹴っても入っていた」「勝っていたのに負けて情けないなあ」など。簡単に言われたくない思いは、たぶん医療や介護業務などでも多いのでしょう。

大物画家が素人に言われて一日くさった話があります。「これは全然わからないから悪い絵だ」。それを美術評論家に言われたのなら、相手の限界が知れてしてやったり。なのに、美術と無縁のおじさんにペラペラ言われた時は、いやーな気分が続いたという。

著者は他人から美術の質問をしばしば受けますが、わからない絵画への不満はやはり多いようです。そう思いませんかと言われても答えるのに困り、後で考えた説明が本書の最も初期の原稿でした。

わからない人自身は、何が問題でそうなっていると見当をつけて、わからなくした犯人は誰だと目星をつけているのかと、こちらもたずねたくなりました。皆は責任をどこに求めているのか。当然ながら現代アート普及推進団体などは、美術家は正義だという前提ですね。

わからない側は、実は隠れた先入観を堅持していて。脳内が特定色に染まって一定の思想が形成済みだったりします。濃い色の紙に色を塗っても変わらないような、そんな感触も確かにあります。

ただその特定色に「わからない抽象画は悪い絵だ」など、業界内戦のスローガンもありました。具象画家が抽象画の台頭を食い止めた、新旧絵画の勢力争い。わかる絵が正しい式のポピュリズムを国民に唱えた頃。そのいきさつにも触れている本書なので、実は敵も多いという。
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Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?