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美術館などに税金を使う意味はあるのかと、文化行政コストの無駄がしばしば言われます。芸術やら美術は、そもそも人間に必要なのか。特に今のようなデフレ不況の時代には賛否が分かれるでしょう。

「僕らの収入から税金をまきあげた、不要な箱モノ行政なんかやめろ」「天下り目的だろ」の怒りもみられ。先にやるべきは、保育所の建設や貧しい児童への学資援助だと。それに対して「美しいものを見ることも大事な情操教育です」と、教育論からの応援もあります。

それに対する再反論も。「美の鑑賞は余裕があってこその付加価値であり、余裕が消えた国内貧困時代に、美にうつつを抜かすべきでない」の意見も。美を愛する心は、非優先のオプションだという着眼です。その裏に、美術は婦女子の世界だ式の封建道徳も混じって。

こういう議論をみるにつけ、著者は全てをひっくり返したい気分です。なぜなら、美術イコール美しいとの前提は、人類の歴史とは合わないから。賛否ともに同じ狭さがあるから、両論ともボツ。

あらゆる食べ物から甘いものだけ抜き出し、この甘さは人生に必要なのかと議論する感じ。辛い美術のポロックなどもあります。美女やバラの花のうっとり気分とは違う美術の方が、人類史では多数派。甘美な印象派や野獣派への偏愛的な入れ込みからお互いが離れない限り、アートの全体像はいつまでもみえないでしょう。

美術なる明治時代の訳語が、実はまずかったのです。ルノワールは当てはまり、ポロックは当てはまらない感覚が今も消えません。目の保養にとどまる出発点の言葉定義が、許せる範囲を狭くする心理的な制約になったまま。英語でビューティフル・テクニックなどと呼ばないし。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?