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著者はサッカーに関してプロの視点は持たず、素人から出ていません。テレビがないので中継放送とは無縁で、年間二千試合を見るルミ子先生にはるか及ばず、動画サイトでチェックする程度です。

だから試合の見え方が異なります。よくある不思議体験は、日本代表が負けた試合です。試合後にサポーターが「全く動けていない」「ボールが入る気がしない」「最悪」「こいつら全員いらない」と、日本チームをけなします。アンチは「日本人にサッカーは向かず無理だ」。

しかし録画では、それなりに善戦してみえます。攻撃もしかけ、適度に前を向き、よく走りボレーも打つ。決定力がないのは、相手も同じようなもの。だから選手が答えた「負けた気はしなかった」は、著者の印象に近い。いや雲泥の差だったと、ベテラン観戦者は叩きますが。

この見え方の違いは心構えで生じます。マイナス情報が満ちた反動で、プラス補正されるだけではありません。日常的によく見て知って詳しい人ほど、小さい差が大差に拡大されて見える心理効果があります。地球がジャガイモになるほどの、脳内デフォルメが起きて。

年間二千作品を見ての「攻めていない」「日本人には無理」という美術とて、素人なら許せるでしょう。たまに鑑賞するだけなら、どのアート作品もそれなりの善戦に感じます。欠点が目立たない。曜変天目茶碗で起きた混乱も、陶芸がどれも似たものに見えるせいでした。

芸術性も「僕にはわかりません」「いや雲泥の差だ」という、脳内での拡大率の違いにすぎないのかも。表現物の亀裂や断層を感じ取る力は、単純にたくさん見たら自然に得られそうで。ルミ子大王がメッシ以外への愛を語り出すのを、とりあえず待つ6月。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?