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1995年にWindows95が発売された時、オフィス95というアプリスイートも発売されました。そのパッケージの気になるソフトがパワーポイントでした。プレゼンテーションソフトという、日本にとっては目新しいジャンルでした。

企業で使う会議用資料は、従来はプレゼンボードという大型パネルに紙を貼り込んで立てかけるか、または部屋を暗くしてスライド映写機や、オーバーヘッドプロジェクターで壁に映したものです。

パワーポイントはパソコン画面に用意した仮想の白紙に文を書き、写真やさし絵やグラフを貼り、音声を貼った状態で一個にデータ化します。その紙芝居タイプの図版を当初はブラウン管に映し、後に液晶プロジェクターで壁に映しました。

「すごーい」「斬新だ」と尊敬を受け、企業に新風を吹き込み、しかし間もなく問題になりました。見せ方に熱中する点。写真のフェイドインとアウトが派手で、タイトル文字が踊る。グラデーションの背景。それらのエフェクトで目を引いても、かんじんの本文は手貼りボードの時代より希薄な内容になったという。

似た現象はアートにも起きます。たとえばレーザー・ホログラムで立体を描くアート。空中に浮かぶバーチャルな立体アート展に「すごーい」「斬新だ」。一息してみると、どこが創造か、何を指して芸術なのかが希薄と気づく人々。空中の立体は、ロダンの『考える人』。

既存の造形で見せ方を一新するのは、現代美術らしいひとつです。背景には、造形の新開発が負担になった時代性もあるでしょう。20世紀半ばからアートが行き詰まった課題です。「斬新こそが芸術なのだ」ときて「斬新とはそこかよ?」で落とす、ダダ運動タイプの時代でした。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?