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大学アメリカンフットボール試合の傷害事件。加害者は「相手を壊せ」「つぶせ」の指令を受け、故意に負傷させたと認めています。上司は、「壊せ」「つぶせ」は思い切り当たる積極性の意味だと反論しました。「比喩なのに、まさか言葉どおりに受け取るとは」と。

その釈明は、実はロジックに難があります。「壊す」「つぶす」は隠語だからです。隠語は言葉どおりとは異なる意味を持つから、隠語を言葉どおり受け取るドジは意味不明。隠語をどう受け取るかの争点は存在しないのが本質論ということに。

たとえば「キセル乗車」は車内での喫煙ではなく、運賃の中抜き不払いを指す隠語です。キセルで行けと言われた部下は、中抜き不払いの指令以外に受け取りません。喫煙乗車と不払い乗車を取り違えたりしない。隠語で話す間柄に、解釈の相違は生じない道理です。

ところで、小学生の世界でこういう問答がありました。「お前の父さんおんな?」。「うん」と答えると「へえー父さんは女か?」。「いや」だと「へえー父さんはいないのか?」。どちらに答えてもからむ。少年グループの万引きで、ボスが強要した自主的窃盗もこの路線か。

アメフトでも、どちらへ転んでも犠牲が2学生へ向かい、指令者が免れる避難路が仕組まれていました。冗談を真に受けた学生がアホすぎると嘆いてみせ、被害者を演じるのがたやすい指令側。事件のキモは強者が言葉の多義性で弱者を追い込む、巧妙なトラップ・システムでした。

こうした多義性は、アートでもつくられます。一例はわいせつか、芸術かで報道される作品。ポルノ系のアダルトビデオに限らず、アート表現と又掛けして合法と擁護する場面をみかけます。ものによっては、大学アメフト報道の国民の憂うつと共通するかも。
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Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?