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芸術は個性、の言い方は日本では好まれません。個性の語を悪い面に使うからです。個性と言えば困りものの評価が含まれ、明るい好人物を個性とは呼びません。問題行動や心身の障がいを、個性と言い換えようと呼びかける人もいるほど。

美術の芸術成分は個性なのだと言うと、皆さん不安になります。誰かが調子に乗り、悪い作品を世に増やすかも知れなくて。自由奔放に走った自分勝手な表現で、世界がしっちゃかめっちゃかになる不安です。

こうした往年のアンチ個性主義に対し、強い反発も起きます。STAP細胞擁護は、不正行為を個性と呼び絶賛したムーブメントでした。不正はだめと戒めた日本科学界に対し、日本特有の個性排除はよせと知識人が怒った現象が後半でした。本書第8巻に詳しく書いています。

美術の個性とは何か。どれを指して個性と呼ぶのか。考えすぎてもわからなくなります。単純に、他と異なるキャラだと解釈して足りるでしょう。違うことが大事であり、良し悪しの評価まで含めないのが正解。

ゴッホ事件が示したのは、ビフォーに個性を排除し、アフターに個性を求める、人類の行動特性でした。「個性はちょっと」と「個性は永遠」の間で人はゆれ続けます。もうそういう前提。当代の個性は違和感になるから、困りもの説は美術ではいえるでしょう。

ところで、関係があるのは作者の個性ではなく、作品の個性です。主役は作品。物に個性があるという発想です。作者の人物像をたどるのは、おもしろいけれど間違いも増えます。作品だけ見るべしの言い方が一応正解です。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?