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美術鑑賞する脳のはたらきは、思考とは違うと疑ってきました。今日よく聞く言い方「考える力が大事だ」が、アート鑑賞には通用しない問題です。現実はどうか、理想はどうあるべきか、という二つの点で。

疑うひとつの根拠は、天才的な頭脳を持つ人でも、芸術に言及する時は凡庸な認識にとどまる傾向です。頭脳優秀だと自他ともに認める人が、芸術がわからないままなのは不思議です。

芸術鑑賞は思考では解決しないということでしょう。思考力では歯が立たないところに芸術性が表れるなら、鑑賞のテクニックも全く変わってくるでしょう。「よく考えました」では鑑賞に失敗します。

「感じるな、考えろ」へと美術鑑賞が向かう原因で、あることを思い出しました。近代具象の彫刻家ロダンのブロンズ像『考える人』です。日本人が彫刻の原点と心得た、彫刻界の『モナリザ』相当です。図工や美術の教科書に見るこの名作は、「考える」とあります。

この題名が、考え込む鑑賞法を刷り込んできた疑いです。『考える人』が原点となり思考力重視へと引っ張っていて、国民が分析的にパズルを解く流れができている疑いです。

彫刻界のピカソは、ヘンリー・ムーアが知られます。ただし同じブロンズ像でも抽象造形だから、分析しても内容に迫れません。「考えるな、感じろ」の作品です。その題名が『感じる人』かせめて『考えない人』なら、別の鑑賞法へ引っ張ってくれるかも。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?