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美術鑑賞者に向けたアドバイスに、「絵の分析はやめて、とにかく何かを感じればよいのさ」を聞きます。そう説く人は意外に多いから、一応古ネタです。だからこの結論の論文を書いても、「新発見じゃないね」と評価されないでしょう。

今さらわかりきった話なのに、絵を見た人々は「これは何?」「何を描いたの?」と、モチーフ当てクイズに向かってしまいます。今さらなはずなのに、あまりうまくいかない。

この本では、わかりきって今さら新発見でない正解へ、人々が近づけない原因は何なのかを探っています。理想はこうだと引っ張ることより、理想から遠のく原因が何なのかを考察する本です。障壁を読む本。

だから現代美術がわからない人に、「こうやって見なさい」の言い方はあまりありません。代わりに「大勢の鑑賞法を引っ張っている犯人はこれかも」の言い方が多いのです。

具体的な容疑の例は作品です。鑑賞者に分析させる絵を制作側が作り、歩調を合わせています。芸術は難しいという鑑賞者の悩みを軽減しようと、より平易なクイズ問題を出してさしあげる画家も多いのです。鑑賞者は、絵の分析へと連れ戻されてしまいます。

分析不能なら抽象画が中心になりそうなので、この問題は抽象画は難しいという悩みと同じものになっています。実際に、抽象画だけを多彩に集めた展示会では、意味を読まない視点が比較的簡単に見つかり、脳の使い方が変わるものです。慣れの問題もあるかも。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?