FC2ブログ

-
テレビの鑑定番組で4番目の国宝級と認定された『曜変天目茶碗』は、最近別の番組で中国の女性陶芸家が名乗り出て、自作品を見せて一致し結論が出たそう。1400円相当だと。最初に出た疑念どおり。

内外の陶芸の業者たちで、あれを本物の『曜変天目茶碗』やその失敗作と見た人は、さすがに皆無でしょう。造詣があるなしの大げさな話ではなく、犬と猫を見分けるに似た平易な事例だったからです。

しかし大事なことは、あれは曜変天目の贋作ではありません。目指した種類が異なっています。贋作という名のにせ物は、イタリア製のバッグに似せたバッグや、スイス製のウォッチにそっくりのウォッチのことを言います。コピー系なりすましが贋作の意味です。

女性陶芸家が作った茶碗は、なりすましとは違う。そもそも天目と呼ぶ水玉模様がなく、似た点がないほど別意匠でした。バッグをどう作ってもスイス製ウォッチに化けないし、ウォッチ価格の200万円では売れない話。一匹の猫を指して、幻の秋田犬発見だと議論するみたいな。

『曜変天目』は、鉄釉の偶発的失敗です。黒く出るはずが、奇妙な青に出て、水玉模様が生じた想定外の窯変(ようへん)による残念な結果がそれ。中世中国の常識ではオシャカ扱いなので、造幣局のエラーコインやエラー切手同様に廃棄処理されました。

それを珍重したのが日本で、だから市中にもれ出たエラー切手みたいに稀少です。ゆがんだりつぶれたり、半分崩れかけた楽焼きと共通した、手作業の偶然に対する独自の愛着。日本的文化。そんなエラーの再現を目指す研究者が日本に隠れていた事実が、騒ぎの最大の収穫でした。
関連記事
スポンサーサイト
現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?