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その最悪のアドバイスは、ネットにもたくさん出回っています。「現代アートなんか怖くない」「現代美術をもっと理解して楽しもう」というサイトでも、力強く繰り返されていて。このアドバイスが間違っている大きな根拠は、昔のアドバイスもこれだったから。

過去あっての現在なわけで、長年続けてダメなハウツーを、さらに強いて好転はないでしょう。作者が何を思いつき何を考え、どういう意図かを理解しようとして、国民のアート嫌いは高まりました。結局向かったのは、芸術家は頭がおかしい人だとする近年の通説です。離反する方。

芸術作品の理解とは、作品の作者の考えを理解することとは違います。本書でも、美術鑑賞がクイズ回答やパズル解きにそれていること自体、現代人がアートに敗れ去っている光景だと指摘しています。作った人の思いや狙いを、言葉に直して覚え込んで何になる?。

音楽ではその聴き方はやりませんね。イーグルスの『ホテル・カリフォルニア』で、作者が何を考えこうなったかを理解することで、曲を楽しむ発想はないもので。やれと言われても、めんどうでやりたくないのが普通。美空ひばりの思想など考えずに歌を聴くのが普通。

もうひとつの理由は、そもそも何を考えたか作者に覚えがなかったり、何も考えていなかったりが、創作の常だからです。「この形になった理由なんて特にないよ」という作品がほとんど。作る現場の側から、正直に告白すれば。作者の考えがわかったとしても、的を外している確率がだいたい100パーセント。

だから本書で、作品をわかる最大のコツは「作者の考えに気を回さないこと」です。ネットに山とあるアドバイスと正反対。だからネット時代に国民が前にも増してアートが苦手になったのは、当然と理解しています。偉い人の指導教育が、人々を悪い方へ引率しているからです。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?