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日本に限らず、最も誤解されている現代アートは『泉』でしょう。あの便器。「現代美術を理解できるサイト」の題材に、便器アートがよく出てきます。「アートは何でもありだと、いいかげん認めなさい」「時代について来なさい」と、説き伏せるための切り札が便器作品だという。

あるアーティストが美術の既成の概念を超えようと、市販の便器を彫刻作品に仕立てたという、一般に流布する創造物語は一応つくり話です。動機も違うし、訳知りに間違っている例。芸術家の柔軟な表現力という便器のあらすじは、いきさつが改変された都市伝説です。

本書でも触れていますが、ネットには大量の便器都市伝説に混じって、本当の話もわずかに出ています。まるで、賢人が棒で叩くと山が二つに割れた逸話や、聖徳太子の12人同時ヒアリングみたいに、後世の創作を頼りに現代アート押しが続いています。この美をわかるべしと。

たとえば郵便で手紙が届いて、中にカミソリの刃が入っていた。それを指して、「漢字表現がここまで自由になった時代」「現代の斬新な文芸作品の先駆だ」とは解釈しないはず。カミソリを封入した人は、作品を創造する目的ではなかった。

便器も同じなのに、カミソリと違う解釈です。話を変えた理由は何か。もしかして現代アートに手を焼いたリアクション?。理解できぬ思いを他人と分かち合う心理効用だとか。先輩鑑賞者がこれに驚け、これにあきれろと、後輩鑑賞者にアートハラスメント?。話を大きく盛って。

たぶん起点はピカソの抽象画ショックで、その斜め上を行く極論が今や慰め役なのでしょう。大事なことは、便器もアートなのだと納得し承認しても、ピカソはわからない点です。便器を学んでも抽象画に及ばない本質的問題。便器を持ち出されても、後輩たちは煙に巻かれています。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?